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宇佐美をどう生かすか…メキシコ撃破の裏に潜むU-23代表の課題

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[7.21 国際親善試合(U-23) 日本2-1メキシコ ノッティンガム]

 チームの勝利にも表情は浮かなかった。左サイドハーフで先発しながらハーフタイムに途中交代となったMF宇佐美貴史は「相手に支配されながらの試合だったので、仕掛ける場面が少なかった。自分の中で一番悪いリズムになった」と声を落とした。

 18日のベラルーシ戦(1-0)はトップ下で先発出場。サイドに流れながら攻撃の起点となり、特に左サイドからの突破でチャンスを演出した。ところが、この日は運動量と献身的な守備も備えたMF東慶悟がトップ下で先発。関塚隆監督は「ベラルーシ戦を見て、サイドから仕掛けるのが一つの特徴かなと思い、今日はサイドからスタートさせた」と説明したが、ベラルーシ戦のようなポジションチェンジを含めた連動性がなく、攻撃は停滞した。

 5月のトゥーロン国際大会では2得点1アシストを記録。昨年2月の中東遠征、同3月のウズベキスタン遠征後、1年以上遠ざかっていたU-23日本代表できっちりと結果を残し、関塚ジャパンの“切り札”として五輪メンバー18人に滑り込んだ。世界でも通用する個人技とポテンシャルへの期待は大きいが、チームとしてどう宇佐美を生かしていくか。本大会前最後のテストマッチで、その課題に明確な答えを出すことはできなかった。

「これだけ押し込まれると、彼の特徴は出し切れないなと感じた」。関塚監督はそう語るが、26日のスペイン戦をはじめ、劣勢の試合展開が予想されるときこそ、ワンチャンスを生かすには宇佐美のような個の力が必要になる。しかし、1トップにFW永井謙佑、トップ下に東という“守備重視”の戦術の中、左SBの徳永悠平もバランスを取ってオーバーラップを控えるなど、背番号14は孤立していた。

 宇佐美自身、スペイン戦に向けて「今日よりもっと集中して、一発で点を取って、となればベストだけど、スペインはそう簡単に隙をつくらない。我慢するところは我慢して、一発二発で決めることができれば」と、少ないチャンスをものにしていくイメージはあるが、そのためにいかに自分のプレーを出していくかは手探り状態だ。

 クラブの事情で11日のニュージーランド戦を含めた国内合宿に参加することができず、現地合流となったことも誤算だった。宇佐美をどうチームにフィットさせていくか。「彼はまだ合流して間もないが、特徴は私を含めて選手もみんな理解している。それが実際に生かされるような形をつくっていきたい」と関塚監督は言うが、そのための時間はあとわずかしかない。

(取材・文 西山紘平)

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