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“期待どおり”の対浦和にパトゥム手倉森監督ニヤリ「浦和には裏技を出すだけ」

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パトゥム・ユナイテッドの手倉森誠監督

 史上初のAFCチャンピオンズリーグ8強入りを果たしたパトゥム・ユナイテッドは、準々決勝で浦和レッズとの対戦が決まった。前日のラウンド16勝利後に「浦和のホームでPGの選手と戦ってみたい気持ちもある」と述べていた手倉森誠監督は20日の抽選後、報道陣の囲み取材で「期待どおり」とニヤリ。埼玉スタジアム2002での日本勢との対戦を心待ちにしていた。

 本来であれば避けたい完全アウェーの“埼スタ”だが、願っていたとおりのクジだった。「BG(愛称)の選手たちもJリーグのチームとやりたい、ホームスタジアムの浦和とあのサポーターの前でやっていたいと話をしていたので、思いが伝わった結果になってよかった。BGのクラブにとって、これから準々決勝以降はクラブの発展になるんだろうなと思うシチュエーション」。これからさらなる発展を目指すクラブにとって、この経験が財産になると捉えている。

 浦和サポーターからの大声援について報道陣から聞かれた手倉森監督は「映像でタイの国民、BGのファンも見られると思うので、浦和レッズが出しているスタジアムの雰囲気を文化としてタイもいい刺激になればいいなと思うし、その前で戦うタイ人プレーヤーを僕も見てみたい。奮い立たせないといけない」ときっぱり。「ACLで2度チャンピオンになっているし、ここでの一発勝負の勝ち方をこのクラブ自体が知っている。埼玉スタジアムでやれる浦和が怖いもの知らずの風格がある」と警戒をのぞかせつつも、その表情の奥には期待感がにじんでいた。

 前向きな振る舞いは、指揮官自身の経験に裏打ちされたものでもある。かつてベガルタ仙台を率いていた手倉森監督はJ1昇格年の2010年から13年にかけて4戦4分と無敗。「浦和のサポーターが少しでも僕のことを嫌がってくれればいいなと思いますけどね。仙台で戦ったイメージがあると思うので。震災があった当時はなかなか浦和に負けなかった経験がある」。声出し応援が解禁され、ボルテージの高まるスタンドにも決して臆するつもりはなさそうだ。

 そんな指揮官は浦和との一発勝負に向けて「以前も使いましたが、“浦和”には“裏技”を出すだけ」と得意のダジャレも披露。その裏技とはまさかの“駆け引き”だった。かつてパトゥム・Uの前身バンコク・グラスを率いた経験を持つリカルド・ロドリゲスに対し、抽選後に「お互いに大勝したからメンバーは代えないだろう」と持ち掛けたという指揮官は「もう駆け引きは始まっている」と笑顔で言い残し、取材エリアを後にした。

(取材・文 竹内達也)
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