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横浜FMマスカット体制が終幕…復帰への道を支えられた宮市亮、進化を模索した喜田拓也の感謝

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横浜F・マリノスケヴィン・マスカット監督

[12.13 ACLグループG第6節 横浜FM 3-0 山東泰山 横浜国]

 2021年夏に横浜F・マリノスの監督に就任して2年半、昨季のJリーグ制覇に導いたケヴィン・マスカット監督が13日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント進出の権利を置き土産にラストマッチを終えた。突然の退任発表から1週間後、ACLの大一番でこれまで貫いてきた攻撃的なスタイルを結実させ、首位突破に必要な3点差での勝利に導いた。

 試合後、指揮官の就任と同時期に横浜FMへとやってきた宮市は「最後の試合というより、自分たちのやってきたことを最後の最後までやろうと話していた。いつもと変わりなく試合に入れた」とこの一戦を総括。「(マスカット監督が)常に相手よりも自分たちのフォーカスするということを就任した時からずっと言っていた。それがすごく浸透したと思う。僕達がパフォーマンスをすることで相手に影響を与えると言っていた。それを今日も貫いたと思う」と積み上げを誇った。

 宮市は昨年夏、日本代表の一員として出場したEAFF E-1選手権で右膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、選手キャリアで何度も経験してきた長期離脱を強いられた。当時、現役引退の選択肢も頭をよぎったことを明かしていたが、復帰に至った道のりには指揮官のサポートも大きかったという。

「彼とは直接(英語で)コミュニケーションが取れるので、怪我をした時にメッセージをいただいて、そこからまた頑張っていこうと話していた。復帰するにあたっても密にコミュニケーションを取って、起用を考えてくれた」。そう振り返った宮市は「彼がいなかったらこうしてまたマリノスのユニフォームを着てピッチに立つことはなかった。感謝しています」と目を細めた。

 また小学生時代からクラブ一筋で、19年から主将を務めてきたMF喜田拓也は指揮官の就任当時を「シーズン途中の難しいタイミングで引き受けてくれて、彼もいろいろ考えたでしょうし、その中では受け継いだものもありつつ、相手も自分たち仕様にしてきたり、(相手チームから)標的にされて難しさを感じている局面だった」と振り返りつつ、「より臨機応変さとか、自分たちも効果的に変化していくことを彼は植えつけてくれた。より進化していくためのマリノスに必要なものを時間をかけて構築してくれた。今日も随所に出ていたと思う」と残したものの大きさを強調した。

 そうした積み上げが結実し、2点差以上での勝利が求められる条件の中、ラストマッチで掴んだ決勝トーナメントの出場権。喜田は「ミッション通りに勝つというのは見ている以上に難しい。見ている人が『やっぱりマリノス勝ったな』と思ってもらえれば自分たちの基準が高いんだろうし、難しいことをしっかりやり遂げられたのは彼が導いてくれたものが出たんじゃないかと思う」と手応えを口にした。

(取材・文 竹内達也)
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Text by 竹内達也

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