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味方生かす好ポジショニングは「キャンプからすごく意識していた」、精度高いパスで川崎Fを支えた新加入MF山本悠樹

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MF山本悠樹

[2.20 ACL決勝トーナメント1回戦第2戦 川崎F 2-4 山東泰山 等々力]

 ホームデビュー戦で輝きを放った。川崎フロンターレMF山本悠樹は13日の第1戦に続き、第2戦も先発入り。DF三浦颯太のチーム1点目をアシストするなど持ち味を発揮したが、チームはACLベスト8進出ならず。「アウェーよりはいい展開だったが、本当に勝てなかったことがすべて」と悔しさをにじませた。

 冴えわたるパスセンスで何度も決定機を演出した。0-2で迎えた前半30分、中盤で左SB三浦がボールを奪うと、山本は三浦の突破を遮らないように左サイドライン際に立つ。PA左に突破する三浦との距離感を図りながら、相手のDF陣を引き付けたタイミングでスルーパス。三浦のゴールをアシストした。

 前半35分にも山本のパスがチャンスを生む。左サイドライン際までボールを運び、内側に入ったマルシーニョとワンツー。相手守備陣の視線を自身に集め、PA左に入り込んだマルシーニョにスルーパスを出し、好機を作り出した。後半35分には中盤でMF脇坂泰斗のパスを受けながら、最前線までのパスコースを見極めてダイレクトスルーパス。その後FWエリソンにオフサイドが認められたが、山本の大きな見せ場となった。

 精度の高いパスが目立つが、ピッチ上のスペースと味方との距離感の意識が垣間見えた。左サイドでの連係には「マルシーニョ、(三浦)颯太と縦に特徴がある選手がいたので、その選手をうまく生かしながらできたらいいと思った」と振り返る。

「マルちゃんも、颯太も一緒にやっているとやりたいことが伝わってくる。そこの良さを消さないように、自分が一番冷静に見れてポジショニングが取れると思うので、2人の良さを生かしながらサポートしてあげることは、試合を通して、キャンプからすごく意識していた」

 相手に迫られても、巧みなタッチから冷静にパスを出せる強みもある。相手を引き付け、味方にスペースを生み出すことも意識している。「自分のポジショニングで相手のCBやボランチが出てきてくれたら、(橘田)健人やエリソン、(脇坂)ヤスくんがもう少し空いてくるというのはやりながら思っていた。途中から(家長)アキさんがいい中継地点に入ってくれたので、3人目でうまく前を向くシーンは多かった」。加入後から時間をかけず、山本が川崎Fの攻撃を支えていた。

 一時は同点まで追いついたが終盤2失点。2試合合計で5-6とアジア制覇の夢は断たれた。山本は「点が取れて緩んだとは言わないが、リスクを冒さないようにというか、より守りに入ってしまうような姿勢はちょっとあった」とピッチ内の考え方にわずかなギャップがあったことを認める。「1つ2つ取りに行けるような迫力や全体の押し上げる力とか、そういうところは少し改善が必要かなと思う」。冷静に新天地の現状を見定め、新たな戦いに目を向けていた。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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