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J1挑戦経て地元甲府復帰、初陣はアジア決戦…歴史的180分間に奮闘したDF今津佑太「もっとこの感覚を感じたいからこそ頑張らなきゃいけない」

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DF今津佑太

[2.21 ACL決勝T1回戦 甲府 1-2 蔚山現代 国立]

 地元山梨のヴァンフォーレ甲府でプロ生活をスタートし、一度はJ1挑戦のためクラブを離れたDF今津佑太が今季、再び地元クラブに帰ってきた。覚悟の初陣となったのはAFCチャンピオンズリーグ決勝トーナメントという大舞台。フィールドプレーヤーで唯一、Kリーグ2連覇王者の蔚山現代を相手に180分間フルにピッチに立ち、クラブの歴史に残る戦いを身をもって経験した。

 2戦合計スコアは1-5の大敗。力の差は明らかだった。「個人の判断、前に出た時のパワフルさ、フィニッシュのクオリティー、そうした個人の質は差が大きかったんじゃないかと率直に感じた。でもそれが僕たちにとってディスアドバンテージだったとしても、特に1stレグはもっと上手く戦わないといけなかった。今日は先制点を取られてしまったけど、逆転するチャンスはあったのでもっとやっていかないといけない。最後の失点のところも守らないといけない。全部が足りなかったと思う」(今津)。結果的にはエースのFWチョ・ミンギュに圧倒され、0-3の完敗に終わった第1戦のビハインドが重くのしかかった。

 山梨県出身の今津は今季、V・ファーレン長崎から甲府に加入。流通経済大からプロ入りした2018年からの3年間、甲府に所属した経験があるため、地元クラブに3年ぶりの復帰となった。シーズン制のずれにより、今季はJ2リーグ開幕前にACL決勝トーナメントを迎えた形。今津にとってはこれがACLデビューだったが、ここまで歴史を切り拓いてきた仲間たちの分まで、覚悟を持ってピッチに立っていた。

「ヴァンフォーレ甲府が天皇杯に優勝して、グループリーグ突破して、いろんな人が勝ち取った大会。僕としてはパッと来て使ってもらって、2試合で2敗したというのは不甲斐ないし、やるせない。せめて今日の試合でも勝ちを届けたかった。いろんな楽しさを感じながらも、それをもっと感じるためにもっとやっていかないといけないと思える大会だった」

 対人能力に強みを持つ今津にとって、ハイレベルな外国籍選手との対峙は真骨頂を示せる舞台。「どちらかというと外国人選手とやり合うのは楽しいし、久しぶりにこういうクオリティーの選手たち、能力が高くて判断の質がある選手とやれたことに関してはすごく面白くて、選手としてこういう感覚は大事にしないといけない。もっとこれを感じたいからこそ頑張らなきゃいけないなと思える大会だった」と充実感も口にしたが、再びこの経験を味わうためにはレベルアップの必要性も突きつけられる舞台となったようだ。

 今津は甲府を離れた21年からの2年間、サンフレッチェ広島でJ1リーグ挑戦を経験。初年度にはJ1リーグ戦15試合に出場したが、シーズン終盤にDF塩谷司が加入したことで、DF佐々木翔、DF荒木隼人とのJリーグ最高レベルのレギュラー争いに阻まれ、出場機会を伸ばすことができなかったという過去を持つ。

 それでも、あえて厳しい道を選んだ決断の重みや、国内最高峰のレギュラー争いに身を置いた経験は現在の今津を支えている。

「自分を蔑むわけではないけど、彼らのパフォーマンスはほぼパーフェクトに近いもので、それも毎試合それが落ちないし、アベレージが高かった。それを超えようとした、その人たちに立ち向かって、一緒に競争できたというのは僕にしかできない経験だったと思う。そこに飛び込むこと自体、勇気のいることだったと思う。でもそれで終わらせたくない。その経験に説得力を出すためにも、しっかり結果として示すところまで持っていきたい」

 ACLで敗れた悔しさの裏にも、そうした経験をしてきたからこその複雑な重みがあった。

「今日のプレーは納得のいくものではなかったけど、もし外に行くチャレンジをしていなかったら、もっとスケールの小さい選手で収まっていたと思う。でも少なからず自分としても成長を感じているので、だからこそ結果で示したかった」

 残した悔いは、まもなく開幕を迎えるJ2リーグの舞台で少しずつ晴らしていくしかない。「僕が上で経験したものを伝えればチームにもっと良い影響を与えられると思うし、ヴァンフォーレ甲府はもっとポテンシャルを発揮できるクラブなのは間違いない。今日はまだまだ力不足だったと思う。でもそれをネガティブなものではなく、ポジティブにやっていくことで、Jリーグでまた新たなものを掴み取りたい」。アジアの舞台で受けた刺激も、突きつけられた力の差も、まずはJ1昇格への糧としていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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