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[MOM4362]千葉U-18DF谷田壮志朗(3年)_フクアリのピッチも経験した絶対的キャプテンが完封勝利の守備陣を逞しく束ねる

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ジェフユナイテッド千葉U-18を束ねるキャプテン、DF谷田壮志朗(3年=東京武蔵野シティFC U-15出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.26 クラブユース選手権(U-18)GL第3節 熊本ユース 0-1 千葉U-18 コーエィ前橋フットボールセンターA]

 不思議な安心感とでも言うのだろうか。決して大声を張り上げるわけではない。激しく相手を潰しに行くようなタイプでもない。だが、このキャプテンマークを巻いた4番がいるだけで、最終ラインには太く、強固な軸が、スッと1本通ってしまう。

「本当に凄く良い経験ができていますよね。でも、そこでもビビることなく自分たちの色は出せているので、『全然オレたちもやれるぞ』って思っています」。

 プレミアリーグ勢とプリンスリーグ勢ばかりが揃った厳しいグループを堂々と勝ち上がった、ジェフユナイテッド千葉U-18(関東10)が誇る絶対的なリーダー。DF谷田壮志朗(3年=東京武蔵野シティFC U-15出身)は3年間を捧げてきたチームに、大きな自信を持ちながらピッチに立ち続けている。

 決勝トーナメント進出の懸かったグループステージ最終戦。相手は勝点で並んでいるものの、得失点差でこの試合の勝利のみがグループ突破の条件となっているロアッソ熊本ユース。彼らはフルスロットルに近い勢いで、ゲームを立ち上げる。

「ロアッソもボールを持つのが上手くて、前進する推進力があったので、相手ペースになる時間が長かったですけど、耐えたら絶対にチャンスが来ることを信じて、みんなでやれたと思います」という谷田は、センターバックの相方のDF菱田大基(3年)と中央を固めつつ、右のDF尾崎芯太朗(2年)と左のDF眞鍋波留也(1年)、下級生サイドバックの手綱を捌き、シビアなゾーンへの侵入は許さない。

 公式記録上では、千葉U-18の前半のシュートはゼロ。だが、彼らは焦らない。アドバンテージは引き分けでもいい自分たちにある。「選手たちが効果的なプレーを選んでくれたと思います」とはチームを率いる須永純監督。「自分たちは中盤に枚数を掛けていて、いつでも縦に入れてきたら取れるという態勢を常に整えていたので、後ろで持たれている分にはそんなに嫌な感じはしなかったですね。前半で様子を見たので、後半は少し慣れたんだと思います」という谷田も、ゲームの流れを冷静に読んでいた。

 後半8分にはCKから相手に枠内シュートを打たれるも、谷田が確実なクリアで凌ぐ。すると、焦りの出てきた相手を尻目に後半13分、完璧なショートカウンターからFW榁木絆生(1年)が先制点を叩き出す。「引き分け以上で僕らが上に上がれるという展開でしたし、1点獲ったらもうこっちのペースになるかなという想いがあったので、あの1点は大きかったと思います」(谷田)。一気に千葉U-18が優位に立つ。

 終盤にサイドを崩され、上げられかけたクロスを、身体を張って弾き出したのも谷田。最後まで堅陣は崩れない。「ここ2試合は失点が続いてしまっていて、前回は前半だけで3失点してしまったので、後ろの選手からするとゼロで抑えられたのは良かったと思います」。ファイナルスコアは1-0。今大会初の完封勝利は、グループステージ突破を引き寄せる大きな白星。キャプテンにもチームメイトにも、大きな笑顔が広がった。

 経験値はチームの中でも際立っている。まだ高校2年生だった昨シーズンの8月には、J2第28節のヴァンフォーレ甲府戦でトップチームデビュー。「あのJリーグのピッチに立てたことで、大勢の人の前でプレーする緊張感だったり、良い意味でのプレッシャーを感じられたのは、凄く自信にも繋がりました。ただ、その時は声出し応援が“なし”だったので、そこはサポーターの方の声を聴きたかったですけど、手拍子をもらえたのは凄く嬉しかったですし、凄く良い経験だったと思います」。数分間の出場ではあったが、谷田はフクアリのピッチでプロの雰囲気を味わった。

 一度知ってしまったステージの魅力は、もちろんその心を捉えて離さない。「ここから先の大きな目標は、またフクアリで試合に出て、ジェフを勝たせられる選手になることです。その時は自分のチャント、聞きたいですね(笑)」。希望に満ちた18歳の言葉が頼もしい。

 もともと今年のチームには、一定の手応えを掴んでいたという。「個人的には去年も全国大会に出られましたし、その時も自分たちの代が7人くらいスタメンで出ていて、そういう経験値もあって、今年はチームを引っ張れる人が多いですし、下級生も『オレがオレが』と出てくる子が多いので、強いチームに対しても怯えることなく、去年以上にアグレッシブに、強気に行けるというのは、このチームの良いところかなと思います」。

 次からは負ければ終わりのノックアウトステージ。だが、今の彼らは間違いなく上昇気流に乗っている。谷田は試合後のチームの雰囲気と、ここからの抱負を一息に話す。「今日の試合が終わった後も、『ここからだぞ』という声をみんなが出していたんですよね。やっぱり一昨年は負けてしまったベスト16という壁も超えたいですし、去年は1勝もできずにグループステージで敗退してしまって、その悔しさもあるので、ここからも1つでも勝ち進めるように、チームみんなで頑張りたいと思います」。

 この仲間と、行けるところまで、どこまでも。千葉U-18をしなやかに束ねるディフェンスリーダーにして、不動のキャプテン。谷田が携えているチームへの自信と、チームメイトへの信頼は、決して揺らがない。



(取材・文 土屋雅史)
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