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チームの未来を案じるC大阪・柿谷「次の2試合、勝つためだけにやりたい」

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[6.23 J1第15節 F東京 2-0 C大阪 味スタ]

 広大なスペースを駆け、味方のクリアーボールを拾い、次々と速攻につなげていた。FWケンペスとともにセレッソ大阪の最前線に入った柿谷曜一朗は、豊富な運動量を見せ、前線でこぼれ球を拾い集めていた。ボールを収めてからの選択肢は、大きく分けて2つ。後方の選手がフォローに入っていれば、シンプルにボールを預け、自身はゴール前でフィニッシュに絡むべく駆けだす。後方の選手がフォローに来ていないときは、持ち前の高い技術で前を向き、自らボールを前線に運んで行った。この試合、C大阪は0-2で敗れたが、F東京の6本を上回る10本のシュートを打てた大きな要因は、この柿谷の動きにあった。

「ゲームをつくることのできる選手はそろっていると思うので。2列目から、すごく勢いよくボギョンとキヨが飛び出してくるし、(山口)螢もタカ(扇原)もそういう(組み立てのできる)プレーヤー。時には僕が前を向くことも必要ですが、前を見えている選手を早めに使うことを心がけています。基本的に自分は、彼らがプレーしやすいように、ボールを落としてあげることを意識しています。彼らが前を向いて気持ち良くプレーできた方が、チームとしても良い流れになると思うし」と、柿谷は現在の自身の役割について語った。

 チームのことを考えてプレーをしているからこそ、柿谷は、近い未来に不安を隠さない。27日に行われるナビスコ杯の鳥栖戦、30日に行われるリーグ戦の浦和戦を終えると、MF清武弘嗣がチームを離れる。さらにロンドン五輪を戦う日本代表にMF山口螢、MF扇原貴宏、韓国代表にMFキム・ボギョンも招集される可能性が高い。そのときに「自分のポジションを含めて、チームとしてどう戦っていくのかも分からない」と、柿谷は不安を口にし、チームを離れる選手たちにも申し訳ないと言う。

「アイツらを気持ち良くオリンピックやドイツに行けるようにしたかった。あと5試合しかない、4試合しかないと分かっていたときから、もっと気持ちを込めて戦えれば良かったと思います。ここまで連敗してしまったことで、アイツらも『チームに迷惑をかけているな』と思っているやろうし、僕らも勝って送り出せずに申し訳ない気持ちでいっぱい」と、悔しさを吐き出した。

 だからこそ、清武とプレーできる残りの2試合で連勝することが、チームにとっても大事だと柿谷は言う。

「キヨとは、あと2試合しか一緒にプレーできない。でも、あと2試合できるとプラスに考える必要がある。その残り2試合で、アイツらがやりたいサッカーを、僕も力を貸しながらやることが大事だと思う。彼らがいなくなったときは、チームが団結するチャンスだと僕は思うんです。でも、チームとして勝つためにはどういうプレーが必要なのかを、次の2試合で全員が感じないといけない。それができれば、結果は自ずとついてくると思うし、今後にもつながるはずだから。ホンマにあと2試合、勝つためだけにやっていきたい」

 攻守に豊富な運動量を見せていたが、十分ではないと自分のプレーを振り返る。「まだ足が吊っていないということは、まだまだ走れるということ。だから、足が吊るくらい、まだまだ走ってやりたい」。チームを浮上させるため、そしてドイツやオリンピックに向かうチームメイトを気持ち良く送り出すために、柿谷はこれまで以上に勝利の2文字にこだわる。

(取材・文 河合拓)

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