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[MOM1145]麻布大附MF中山克広(3年)_波乱阻止する劇的同点弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] 
[10.12 全国高校選手権神奈川県予選3回戦 麻布大附高 2-1 川和高 日大藤沢G]

 この日、3回戦2試合が行われた日大藤沢高グラウンドでは、第1試合で4連覇を狙った王者・桐光学園高が姿を消し、夏の覇者・麻布大附高も敗退ギリギリのところまで追い込まれた。だが、麻布大附のMF中山克広(3年)が0-1の後半終了間際に劇的な同点ゴール。2試合連続の波乱を阻止した。そしてチームは延長戦の末、2-1で勝利。準々決勝進出を果たした。

「本当に不安でした」。試合後、劇的な逆転劇を演出したヒーローはホッとした表情で語った。初戦が苦手な麻布大附は前半にリードを奪われる展開。中山は正確な1タッチパスでパスワークをスピードアップさせていたが、チームは持ち味のポゼッション、中央からの崩しが得点に結びつかず、試合終盤まで状況を変えることができない。夏からドリブルのキレが増したことに「日ごろ(前が)空いていたらバンバン自分でも気持ちいいくらいにできていた」と手ごたえを得ていた中山は、相手に隙あれば単独での打開にチャレンジしようとする姿勢を見せていたものの、この日は「真ん中固められていて、(ドリブル)コースが見えなくて、どこに行けばいいか分からなかった」と得意のドリブルで切り崩すことができなかった。

 だが、後半39分、中山が「日本一」「神奈川3冠」を目標に掲げる麻布大附を救う。右FKのクリアボールを拾った中山は「もう、ぼてぼてシュートで」と苦笑いしたものの、「枠に入れようと。抑えて打つことしか考えていなかった」という左足シュートをゴール左隅へねじ込む。中山はゴールを確認すると、試合開始直後に負傷退場したトップ下の相棒・MF塚越亮の下へ駆け寄って歓喜の抱擁。同時に「点取った時、みんな泣きながら駆け寄ってきたのでこれは乗れるなと思った」とこの後の逆転、そして勝利を確信していた。

 チームは延長戦で決勝点を上げて逆転勝利。鬼門の初戦を突破した。ダブル司令塔の一角、塚越の怪我によって今後、中山へのマークが集中することが予想されるが、その中でもやり切る覚悟がある。「中山のドリブルは本当に磨きがかかりました」と安彦篤監督も成長を讃える中山。この日、劇的ゴールでチームを救ったMFはドリブル、パスでのチャンスメークに加えて、ゴールも決めてチームに選手権切符をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)

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