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リミッターを外した超攻撃! 山形が変貌した2013年、抱えたジレンマに石川竜也氏「たまんないと思う」

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2013年に超攻撃的なサッカーを見せた山形

 堅守やハードワークをチームカラーとするモンテディオ山形が超攻撃的なサッカーに目覚めたシーズンがある。奥野僚右元監督(現群馬)の就任2年目となった2013年だ。

 そのシーズンはヘッドコーチとして相馬直樹氏を招聘。山形は前年からトライし始めた攻撃的スタイルへの転換をさらに推し進め、開幕からゴールを重ねた。

 J2折り返し地点での総得点42は、G大阪や神戸をしのいでリーグトップ。シーズン途中にドイツ帰りのFW宇佐美貴史を獲得して優勝まで突っ走ったG大阪、自動昇格圏内の2位でフィニッシュした神戸に最後はゴール数で上回られたが、年間を通してリーグ3位の総得点74を記録した。これはクラブ歴代最多の数字。1試合平均1.76得点も過去最高だった。

 今月8日のホームゲームで一般販売される山形のJリーグ公式戦全ゴールを収録したDVD/ブルーレイ作品『JリーグオフィシャルBlu-ray/DVD モンテディオ山形 ALL 1000GOALS J.LEAGUE 1999-2019』でも、2013年シーズンの戦いは異質に映る。

 特徴の1つは前にかける人数の多さだ。チーム1位タイの12得点を記録したFW林陵平(現群馬)とFW中島裕希(現町田)、8得点の山崎雅人氏、5得点のMF伊東俊(現熊本)などが攻撃の中心となり、そこに3列目や両サイドバックも積極的に絡む。ボランチのMFロメロ・フランク(現新潟)が7得点を挙げたことからも、チーム全体の攻撃意識の高さが分かる。

 しかし、大幅なスタイル変更は簡単なものではなかった。人数をかけた迫力のある攻撃は守備のリスクと表裏一体。攻守のバランスを崩して複数失点を食らうゲームが目立ち、肝心の勝ち点が伸び悩んだ。

 同DVDで副音声を担当したクラブOBの石川竜也氏(現山形Jrユース村山監督)は、2013年のゴールシーンを見ながら「みんなFWみたい」と表現している。また、当時のチームを振り返って「前に人数が多いもんね。かなりいるよね」と秋葉勝氏(現山形Jrユース村山コーチ)に問いかけると、生え抜きの名ボランチは「後ろの人が大変ですよね」と返答。そのシーズンに左サイドバックや慣れない中盤の底を務めた石川氏は「(守備陣は)たまんないと思うよ(笑)」とうなずいた。

 2013年はリーグ3位の総得点74を記録した一方で、失点数はワースト4位タイの61。抱えたジレンマを最後まで解消できず、前年に続く2年連続の10位でシーズンを終えた。ハマった時の攻撃力は凄まじかっただけに、石川氏は「いっぱい点取ってるんだけどね。もったいないね」と当時のチームを惜しんだ。

 石川氏は同DVDで2007〜16年、秋葉氏は07〜14年シーズンの副音声を担当。今回紹介したエピソードだけでなく、「堀之内聖氏の硬すぎる切り返し」「山崎雅人氏の言ったもん勝ちゴール」「林陵平のゴールパフォーマンスに新提案」「PKで蹴る方向が決まっている中島裕希」「外に出そうとしたボールがアシスト」など、ざっくばらんなトークが繰り広げられている。

※DVDの内容は許可を得て使用しています。

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