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20歳を変えた貴重な2週間…千葉FW櫻川ソロモン「自分の中でギアが2つ3つ上がった」

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U-24日本代表のトレーニングパートナーを務めたFW櫻川ソロモン

[8.28 J2リーグ第27節 千葉 2-0 長崎 フクアリ]

 堂々としていた。長崎戦では最前線で存在感を示すだけでなく、決勝ゴールを奪ってみせた。ジェフユナイテッド千葉FW櫻川ソロモン。20歳の若者は、この夏、貴重な経験を積んだことで、自身の中で大きな変化があったという――。

 7月2日、東京五輪に臨むU-24日本代表のトレーニングパートナーとして招集されることが発表された。パリ五輪世代のエースとして期待される櫻川だが、東京五輪世代の“先輩”たちの中に入ると、当初は自身のプレーを発揮することはできなかった。

「年が3つ、4つしか変わらない選手たちが、本当に高いクオリティーで練習からプレーしていた。最初は本当に驚いたし、圧倒された部分があった。高いレベルの中で、最初は自分は何もやれなかった」

 シュート練習でポスト役に入った際、狙った位置にボールを落とすことができない場面があった。出場した静岡産業大との練習試合では、PKこそ決めたものの、その他の場面では大学生相手に持ち味の高さを発揮することができず。11対11の紅白戦では、ポジションの関係もあり、唯一メンバーを外れることもあった。

 練習から、U-24日本代表のレベルは高かった。レベルの差を目の当たりにして、自信をなくす選手がいてもおかしくないだろう。しかし、櫻川は前向きだった。「やれなかったことも楽しみながらできていた。もっともっとやらなくちゃいけない。チームに帰って、このレベルにならないといけないと、ポジティブに捉えていた」。その言葉どおり、見本となる“先輩”たちのアドバイスに耳を傾けた。

 思うようなポストプレーができなければ、すぐさまFW林大地の下に駆け寄る。大学生との練習試合後には、DF吉田麻也から身振り手振りでアドバイスを受けた。紅白戦を外れたときには、別メニューをこなすFW上田綺世の練習パートナーを務め、ストライカーとしての極意を学んだ。

「ポストプレーの精度を上げることに関して麻也さんからアドバイスを頂きましたし、上田綺世選手からはゴール前の動きやゴールの奪い方に関して、いい話を頂いたので、そういう部分は日頃の練習から意識して取り組んでいます」。貴重な経験を無駄にはせず、自身のレベルアップへとつなげようとしている。

 “先輩”方との日々を終え、約1か月が経ち、今は成長した姿をピッチ上で見せている。U-24日本代表の練習中には、少し自信がなさそうにこなしていたポストプレーも、長崎戦では堂々とした姿。空中戦ではほぼ競り勝ち、相手を背負っても体と腕をうまく使って力強くキープ。ファーストタッチで自身のプレーしやすい位置にボールを置き、仲間へつないでリズムを生み出す。もちろん、ミスもあった。だが、前半13分に決勝点を奪うなど、その存在感は増しているようだった。

 本人は言う。トレーニングパートナーを務め、意識が変わったと。「ここ(代表)を目指さないといけないと、自分の中で目標が明確になった。帰ってきて意識が変わり、やらなくちゃいけないと自分の中でも変化もあったし、自分の中でギアが2つ3つ上がったので、練習から自信を持ってチームの中でも先頭に立ってやれている」。2週間という短い期間だったかもしれない。しかし、20歳にとっては大きな変化を生み出す、貴重な時間となったようだ。

(取材・文 折戸岳彦)
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