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[MOM3669]大社MF持田優輝(3年)_「スポーツ概論」の授業でスランプ脱出、全国導く先制弾

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先制点を挙げた大社高MF持田優輝(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 高校選手権鳥取県予選決勝 大社高 2-0 立正大淞南高 島根県立サッカー場]

 左サイドでボールを持つたびにドリブルで仕掛け、縦への持ち出しやカットインでゴールに迫った。大社高MF持田優輝(3年)は貴重な先制点以外にも多くのチャンスを作り、持ち味を遺憾なく発揮。母校を30年ぶりとなる選手権連続出場に導いた。

 先制点は18分、なかなかゴールに近づけなかった大社にとっては初めてのチャンスだった。左サイドでパスを受けると「来た、と思って、周りを見ても味方がいなかったので、自分の得意な形に持っていって決めよう」と決断。「小学生の頃からの得意な形」という縦への持ち出しで相手DFを振り切り、左足で流し込んだ。

 1年時にインターハイ(全国高校総体)、昨年度は選手権と、二度の全国大会を経験している攻撃の中心だが、最終学年となった今年、一時はスランプに陥っていた。5月末からのインターハイ予選は、後長直樹監督が「調子が悪く、決勝でも普段なら決められるシュートを外してしまい、精神的に余裕がなかった」という低調なパフォーマンス。立正大淞南に1-1からのPK戦で敗れ、全国行きを逃した。

 転機となったのは、県内唯一の体育科がある同校の授業だった。同科で学び、「自分はプレーに波があり、その原因はメンタルにあると分析した」という持田は、剣道部の顧問である曽田明浩教諭の『スポーツ概論』の授業で、ネガティブな思考を取り除くことの重要性を認識。それまでは「ボールを奪われたとき、試合中に『なぜ奪われてしまったのか』と考えてしまい、次のプレーに集中できていなかった」が、「その授業のおかげで、何回奪われても『次で抜けばいい』『俺ならできる』と思えるようになった」という。
 
「全く仕掛けることができず、無難なプレーに逃げてしまっていた」というインターハイ予選での弱気な姿は、この日のピッチにはなかった。「何回奪われても自分の武器を出そう、と取り組んできました。警戒されているのは分かっていて、それでも決めたいと思っていた」という言葉を実現し、インターハイ予選の雪辱を果たした。

 大社は1988年度の1回戦で勝ったのを最後に30年以上、選手権勝利から遠ざかっている。持田自身も2019年のインターハイと昨年度の選手権、過去2回の全国大会を経験しているが、どちらも初戦敗退に終わった。「昨年度は全国大会の経験者が少なく、慣れていませんでしたが、今年は自分が3回目だし、攻撃陣は主力として2回目の選手が多い」と語った持田は、「ディフェンスラインは1・2年生ですが、頼れる存在なので、彼らに全国大会の厳しさを伝えていければ勝てる」と自信をのぞかせた。

(取材・文 石倉利英)
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