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代表デビュー“1プレー目”から森保Jの閉塞感打破した三笘薫、決勝点もアシスト「ゴールを破れたのは必然の結果」

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日本代表MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)

[11.16 W杯アジア最終予選 日本1-0オマーン マスカット]

 A代表デビュー戦にして、チームの閉塞感を打ち破る存在感だった。カタールW杯アジア最終予選オマーン戦(○1-0)の試合後、決勝アシストで勝利に貢献した日本代表MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)は「この最終予選、勝利することが一番大事なのでそれに貢献できたのが良かった」とホッとした様子で話した。

 最終予選初戦で敗れたオマーンとの一戦、前半はチームの攻撃全体に停滞感に包まれていた中、ハーフタイムに起用の声がかかった。「いつでもどんな状況でも想定して試合を見て準備しているし、ハーフタイムから出るのも何回もやってきたので、常にそういう頭で準備するようにしている」。すでに準備は万端。4-2-3-1の左サイドハーフで途中出場し、初招集から2試合目で待望のA代表デビューを飾った。

 インパクトはファーストプレーから絶大だった。森保一監督からの指示は「推進力を持ってどんどん仕掛けろ」。そんな言葉どおりに開始30秒、左の大外でボールを持った三笘は積極的なドリブル突破を仕掛け、相手のファウルを誘ってFKを獲得。「最初にプレーは結構大事で流れを持ってきやすいところがあるのでそこを意識してプレーした」という狙いどおりのプレー選択で、一気に沈滞ムードを打ち破った。

 その後は相手ディフェンス陣も三笘の特長に順応し、ドリブル突破が阻まれる場面も多発。それでも後半36分、持ち味の突破でさらに相手を上回り、結果につながる大仕事を果たした。

 三笘の横パスが相手に阻まれた直後、後方でフォローに入っていたDF中山雄太(ズウォレ)が高い位置でボールを奪い、リターンパスが三笘のもとへ。再び仕掛けた三笘がゴール前に鋭いクロスボールを送ると、これをMF伊東純也(ゲンク)が押し込み、試合を決める決勝点となった。

 得点シーンを振り返った三笘は「最初にボールを失ってから中山選手がフォローしてくれていたので、フォローがなければゴールにつながっていない」と中山への感謝を示しつつ、「パスも欲しいところにもらえたし、中を見た時に間が空いていて、相手選手が飛び込んできたので良いボールをあげられた」と手応えを語った。

 さらには「なかなか得点に繋がらない形があったので、僕自身ももう少し時間欲しいなと思ってやっていたけど、チームとして後ろのビルドアップで慌てる部分もなかったし、時間が経って相手も疲弊していた部分があった。ゴールを破れたのは必然の結果だったのかなと思う」と言い切った。

 A代表デビュー戦での決勝アシスト。この大仕事は三笘自身がA代表に定着していくのを後押しするだけでなく、攻撃になかなか勢いが出なかった森保ジャパン全体にとっても大きな意味がありそうだ。

 最終予選に入って以降は右サイドの伊東が推進力を発揮しながらも、左サイドではなかなか有効打を繰り出せなかった森保ジャパン。三笘の登場による効用については、伊東が次のように語った。

「オマーンが分析してきて右サイドの方に人数をかけていたので、(三笘)薫の方が空いていた。薫は1対1だったらかわしてくるので、それが効果的だったかなと思う」。

 伊東はさらに「今日初めてやったけど、サイドから崩すのが得意なプレイヤーが両サイドにいると相手も嫌かなと思う」とも指摘。三笘自身も「幅を取ることは意識したし、中盤がスペースを使ってビルドアップしやすいようにしていた。伊東選手も幅を取る選手なので、なるべく中央のスペースを空けることと、サイドの選手を引きつけて押し込む形を増やそうとしていた」と振り返っており、両選手の併用は今後も大きなオプションとなっていきそうだ。

 もっとも三笘自身はこのパフォーマンスに満足せず、さらに上を目指していくつもりだ。

「僕自身が居て欲しいところに(味方が)なかなかいなかったり、逆も然りもあったので、距離感のコミュニケーションは必須だと思う。時間をかければよくなっていくので、僕自身のプレーを知ってもらって、僕自身も生かされるようにしていきたい」。

 そう語った三笘は本大会に向けた生き残りについて「全くW杯のことは考えていない。残り4戦、勝ち切ることしか考えていない」ときっぱり。「1年後の状況は読めないので、今日の1試合でそこまで周りの評価も変わらないと思う。競争が激しくなるので、そこに勝っていかないといけない」と力強く語り、まずは来年1月に再開する最終予選に全力を注いでいく構えだ。

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