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「評価される選手ではなかった」佐々木奈琉はコンバートきっかけに高校屈指のSBへ。高校選抜でも吸収し、名を広める

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5日の日本高校選抜練習は最後にリレー対決。右SB佐々木奈琉(帝京長岡高3年→早稲田大)はここでも抜群のスピードを見せていた

 コンバートから2年強で高校屈指のSBへ進化。将来楽しみな存在が静岡ユース選抜、大学選抜にチャレンジする。日本高校選抜の右SB佐々木奈琉(帝京長岡高3年→早稲田大)は、選考合宿で抜群のスピードを発揮してメンバー入りしたが、前回の日本高校選抜合宿と「NEXT GENERATION MATCH」(対川崎U-18)は不参加。今月4日にスタートした今回の活動で待望の合流を果たした。

「(練習では)自分としても、チームとしても強度高い練習ができている中で、自分の強みである攻撃参加というところは出せて来ているのかなと思います。結果としてアシストやゴールというものを常にこだわりながら、チームの勝利に貢献できるようなプレーをしたいです」と意気込んだ。

 0-1で敗れた川崎U-18戦の映像は携帯電話でチェック。「自分とは違う選手が出ているということで悔しい気持ちがありましたし、自分がここ(の局面)でどうしたら良いか、次の合宿へ向けてイメージを膨らませてここへ来ました」と説明する。「チャンスメークの数が自分の特長」と言い切る佐々木は、試合の状況、選手の組み合わせなどに応じながら自分の良さを発揮する考えだ。

 佐々木は、無名の存在から吸収力を持って這い上がってきた選手だ。ビークス石川SC(石川)時代は県選抜にも選ばれたことがなく、帝京長岡高(新潟)進学後も国体選抜に入れず。それでも、古沢徹監督にFWからSBへのコンバートを打診され、そこから視界が開けた。2年生に進級すると、強豪・帝京長岡で先発を奪取し、選手権3位に貢献。3年時には抜群のスピード、攻撃力を発揮するなど、右サイドで“エグい”と言えるほどの動きを見せていた。

「(ブレイクは)古沢先生からSBやってみないかと言われてポジションチェンジしたことがきっかけだったんですけれども、そこで自分のやりたいポジションではなくても、聞く耳持って自分で吸収していった結果がこの結果になったと思います」と自己分析。頭をすぐに切り替え、チャンスを掴むための取り組みを続けたことで「今まで評価される選手ではなかった」という佐々木は周囲から評価される選手になった。

 自分の力を分析し、それを努力で伸ばせる選手だ。「2年生の時、(選手権を)経験して、そこから1年間やっぱり自分の武器はなんなのか自覚して、プリンスリーグなどでしっかり磨いてきた結果が最後の選手権でいつも以上に周りが見れるようになりましたし、いつも以上の感覚で試合に臨めたのかなと思います。攻撃の面に関しては自分と(U-17日本代表のMF廣井)蘭人で2枚いれば右サイドの攻撃は通用するくらい自信を持って入れたので大きかったと思います。(帝京長岡では)自分のプレースタイルも味方が分かってくれていますし、仲間のカバーとかもあって自分が行きやすい環境だったと思います」

 スピード、運動量は日本高校選抜でもトップクラス。「上がる回数であったり、運動量は(高校年代でも)良いところにあると思います」という自負がある。加えて、日本高校選抜では才能たちの中で守備の課題など新たな学び。今後はスピードだけでは通用しなくなることも分かっている。自分に目を向けることのできるSBは進路の早稲田大で大学のレベルに対応、吸収しながら、またレベルアップする意気込みだ。

「結構今まで能力的なところで崩せてきたところが大学になって、(周囲の)足の速さとかも上がってくる中でそれ以外の部分でズレを生じさせる部分であったり、懐の深さでそこでさらに違いを生み出せたら良いと思います。まず大学で試合に出ないことには意味が無いと思うので一年目からしっかり試合に絡めるようにしていきたいです」。そして、成長を続けて目標であるプロサッカー選手になることを実現する。

 6日の「第37回静岡県ヤングサッカーフェスティバル」静岡ユース戦、そして大学選抜に挑戦する「第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会」へ向けて佐々木は「こういう選抜に選んで頂いたからには自分の名前を覚えてもらうくらいの気持ちでやっていければと思っています」と野心を口にする。特にデンソーカップチャレンジは大学生活へ向けて現在地を確認できる大会。将来性豊かな高速SBは現在の自分を全力で発揮し、将来のための新たな気づきも得る。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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