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序列下がる柴崎岳の思い「プレータイムが少なかろうと…」アンカー起用で復権なるか

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森保一監督の指示を受けるMF柴崎岳(レガネス)

 日本代表のMF柴崎岳(レガネス)が28日、カタールW杯アジア最終予選ベトナム戦を翌日に控えた28日、報道陣のオンライン取材に応じた。直近3試合続けて出場機会が与えられていないが、26日の全体練習では主力組のアンカーに入ってプレー。カタールW杯に向けて生き残るため、日本サッカーをレベルアップさせるため、窮地に立たされている29歳が勝負の一戦に挑む。

 森保ジャパン発足から最終予選前までの間、柴崎がベンチに座ったまま試合を終えたのはわずか1試合。2019年アジア杯で先発を総入れ替えしたグループリーグ第3戦ウズベキスタン戦(○2-1)だけだった。ところが最終予選に入ると、痛恨のバックパスミスで敗戦につながった第3節サウジアラビア戦(●0-1)を最後に定位置を失い、直近の第7節中国戦(○2-0)、第8節サウジアラビア戦(○2-0)、第9節オーストラリア戦(○2-0)は3試合連続で出場なし。MF田中碧(デュッセルドルフ)やMF守田英正(サンタクララ)の台頭を受け、序列が大きく低下している。

 それでも柴崎はこれまでと変わらない姿勢で代表活動に臨み、試合を見つめていたという。

「毎回、代表に呼ばれて試合に出るたびに、最善の準備をしてその時に出せるパフォーマンスを出そうと思っていた。そのパフォーマンスがよかろうと悪かろうと受け入れる覚悟でいた。全てはチームとしてのパフォーマンスがどうであるか。自分のプレータイムが少なかろうと、チームがいい方向に進むためにというところも念頭に置いて代表期間中は過ごしていた」

 W杯出場権が決まったオーストラリア戦についても「個人的には達成感より安心感が大きい感覚がある。ベンチから日本代表の戦いぶりを見ていて、勝利に値するパフォーマンスだったと思う」と冷静に総括。そんな“チームのため”という姿勢は、MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)のダメ押しゴールが決まった際、真っ先にウォーミングアップエリアを飛び出して祝福に向かった場面にも垣間見えた。

 もっとも、圧倒的なパフォーマンスでロシアW杯ベスト16進出に導いたゲームメーカーが、チーム内での振る舞いでのみチームに貢献している状況は少々物足りない。「代表にとっては僕個人の思いはあるけど、日本代表というものが成果を残し続けていくのが一番の幸せで、目指すべき姿だと思っている。そこに貢献していけるように一個人として頑張っていきたい」。そんな思いを実現させるためにも、プレーでチームを引っ張る働きは欠かせない。

 そうした中、ようやくチャンスが巡ってきそうだ。大幅な先発入れ替えが見込まれるベトナム戦に向け、柴崎は急遽報道陣に公開されたハーフコートの紅白戦で主力組に入り、4-3-3のアンカーでプレー。相手が5-3-2で守備ブロックを敷いてくることが予想される中、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)とMF旗手怜央(セルティック)との攻撃的3ボランチを支える働きが求められる。

「常にやってきているプレーを出していきたいし、特別なことをしようとは常々思っていない。練習でやっていることが試合で出ると思っている。どれだけ日常から練習の中でいろんな想定をしながらコンディションを持っていけるかが大事」。終了後にはピッチに残ってGK権田修一(清水)を相手にミドルシュートを連発。無回転やドライブ回転など鋭い軌道のボールを蹴り続け、勝負の一戦への闘志を静かに感じさせていた。

 この日の取材対応では、出場権獲得が決まったW杯本大会に向けての意気込みも語っていた柴崎。「近々相手も決まって、相手によってメンバー構成も大きく影響してくると思う、いろんな想定をしたメンバーになると思うけど、メンバーに入って行けるように努力していきたい」。生き残りをかけて——。ベトナム戦は柴崎岳の真価が問われる一戦となる。

(取材・文 竹内達也)
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