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国見は12年ぶりのインハイ届かず。「当たり前の質」を向上させて冬へ

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技術力の高さを示した国見高MF川添空良は局面を打開し、決定的なシュートも放ったが……

[6.10 インターハイ長崎県予選決勝 国見高 0-1 長崎総合科学大附高 トラスタ]

 10年大会以来12年ぶりのインターハイ出場を目指した国見高は決勝で涙を呑んだ。前からプレッシングに来る長崎総合科学大附高に対し、タッチライン際にできたポケットなどを活用しながらビルドアップ。21年U-17日本代表候補MF北村一真(3年)の絶妙なパスやMF川添空良(3年)のキープ力を活用して攻め、幾度か相手をひっくり返して見せた。

 前半16分には右中間のスペースへ抜け出したFW利根悠理(3年)が強烈な右足シュート。26分には北村のスルーパスで右中間を抜け出したMF中田敦士(3年)がラストパスを狙う。

 相手の厳しいチェックの前にボールを引っ掛けられることも多かったが、ビッグチャンスを作り出していた。だが、右SB村田一翔主将(3年)は「前半は割りかし自分たちのペースかなと思っていたんですけれども、後半の入りが悪くて総附の流れに持っていかれたと思います」と悔しがる。

 後半の入りが悪く、簡単にセットプレーを与えて失点。その後10分に準決勝のヒーロー、MF幸偉風(3年)とFW中山葵(2年))を同時投入すると、小さなスペースを攻略する彼らを中心に流れを引き寄せていた。

 だが、13分に川添の巧みな突破から左SB和田夢叶(3年)が放った決定的な一撃はゴールライン上の長崎総科大附DFがブロック。さらに22分、右サイドの幸のラストパスをファーの川添が合わせたシーンも決め切ることができない。

 国見OBでもある長崎総科大附の定方敏和監督は「国見さんは上手ですし、身体の使い方が上手い。タレントが多いです」と賞賛したように、巧さを見せ続けた国見だが、相手の堅守をこじ開けることができないまま0-1で敗戦。国見の木藤健太監督は「もっと決定的な場面を作らないといけない。ボールを動かしているけれど、PAに何回入れたのか、シュート、決定的な場面を何度作れたのか」と指摘する。

 ボールを保持して攻め続け、ゴール前にボールを配給していいたものの、長崎総科大附DFに先に触れられるシーンの連続。1点を取り返す強さが足りなかった。「弱さだと思うので返せるようにならないといけないですね」という指揮官は、今後へ向けて基本の質の強化を掲げていた。

「当たり前の質をもっと上げないと、ラストパスのコントロールだったり、最後のところのコントロールの質だったり、こういうスタジアムの中で当たり前にできていることをもうちょっと質を高くしていかないと勝てないのかなと。特別なことよりは、基本的な質を高めていくしかない。こだわりを持って攻撃的にというのは思っているのでもっと突き詰めないといけない」。復活へ向けて一歩一歩歩みを進める伝統校は今回のインターハイ予選で12年ぶりの決勝進出。「当たり前の質」を高めて、選手権で12年ぶりの全国大会出場を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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