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ノーゴールを悔やむ町田・平本「自分が決めきれなかったことがすべて」

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[3.11 J2第2節 町田0-1福岡 駒沢]

 昨シーズン、JFLで戦っていたチームが、J1で戦ったチームとの試合を迎える。前者が、固くなっても無理はないだろう。実際、立ち上がりの町田ゼルビアは、アビスパ福岡を相手に固さが見えた。

 そこで攻撃の口火を切ったのがFW平本一樹だった。東京VなどJクラブでのプレー経験豊富なストライカーは、前半7分に左サイドからPA内に得意のドリブルで、ボールをグイグイと運び、GK神山竜一と1対1の場面を迎えた。平本のシュートは、神山に防がれたが、このワンプレーを境に町田は、人数をかけて攻撃するという自分たちの持ち味を出していった。

同13分にロングボールを収めたFW勝又慶典が右サイドから中央にパスを通す。しかし、平本のシュートは左に外れていった。さらに同19分、左サイドをオーバーラップしたDF津田和樹が、相手のDFラインとボランチの間でフリーになっていたMF北井祐季にパスを通し、シュートに至っている。偶然もあるだろうが、町田は時間が経過するごとに、攻撃に関わる人数が増えていった。

口火を切った平本のプレーには、自分がチームを引っ張るという決意が込められていた。

「監督もよく言うんです。『サッカーは伝染するスポーツだ』って。ネガティブな雰囲気を出している選手が一人でもいると、それはチームに伝染して、全体がネガティブになる。でも、良い雰囲気を出していれば、みんながポジティブになる。僕やカツ(FW勝又敬典)は、突破することができる。プレーでも、ああいうシーンをつくることができれば、チームに活気が出る。そこは心がけていますね」

 そして、悔しがった。

「前半は良かった。僕が決めきれなかったことがすべてです。いつも惜しい止まりだから、『(得点の)匂いだけだ』って言われるんですよね。あそこで決めないといけない」

 前半6本のシュートを放ったチームが、後半は3本に終わった。ボールを支配しながら、なかなかシュートに持ち込めなかった要因は、コミュニケーション不足にあった。

「前半は足下にボールが入っていたけど、後半は後ろから蹴るようになっていた。僕は相手のDFラインが下がっていたし、中盤も開いていてスペースもあったから、足下でボールを受けて仕掛けようと思っていた。でも、カツは裏に抜けようとしていて、2トップの距離が開いてしまっていた。試合中、カツに聞いたら『裏に蹴ることになっている』と言われて。僕もキタ(北井)もドリブルで勝負できるから、ちょっともったいなかったなぁって」

 この日の駒沢競技場のピッチコンディションは劣悪だった。ロングボールを多くしようと話したDF陣と勝又らの選択は理に適っている。相手の状況を見て、足下でボールを受けたいと感じた平本の選択も間違ってはいない。問題は、どちらかに統一できていなかったことだ。実際、福岡は先制後、ロングボールを前線に蹴り込むサッカーに徹した。

「連敗はキツイですよ。でも、Jリーグを経験していない選手も多いし、前節に比べたら、今日の方が内容も良かった。チームに自信がつけばいいだけ。だからこそ、僕が最初に決めたかったんですけどね」

 Jリーグ1年生の町田。新たな舞台に挑んでいるチームに、課題が出るのは当然だろう。それを一つひとつ、解決していけばいい。

「次こそは、J初ゴール。決めますよ」

 エースの前向きな気持ちは、きっとチームに伝染するはずだ。

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