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[Fリーグ]2得点も痛恨ハンドの町田FP森谷「最初は胸で止めて…」

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[10.8 F第16節 町田 3-4 名古屋 町田]

 目前に迫っていた勝利は、スルリとその手からすり抜けていった。「勝ち切ることができたゲームだったと思うし、勝ち点3が取れなかったことは、やっぱり自分たちの脆さを感じました」と、2得点を挙げたペスカドーラ町田のFP森谷優太は唇を噛んだ。

 試合の残り時間は2分を切っていた。スコアは3-2と町田が王者・名古屋オーシャンズからリードしていた。ボールを名古屋に保持されても、町田は粘り強い守りを見せて、得点を許さない。逆にボールを奪ってからは切れ味鋭いカウンターで、名古屋のゴールを襲った。

 その中で、今季からピヴォとしてプレーしている森谷も、2ゴールを挙げている。1点目は1-0で迎えた後半9分、名古屋の森岡薫からボールを奪い、FP篠崎隆樹とのワンツーからシュートを流し込んだ。2点目は同14分、FP甲斐修侍のループパスをFP大地悟が胸で落とす。そのボールに素早く反応し、ゴールを決めた。「1点目は速攻からの流れで、2点目は練習からやってきた形を出せました」と、森谷は振り返る。点を取るという役割を、しっかりとこなし勝利を手繰り寄せようとした。

 しかし、後半18分だった。最前線にいた森谷は後方からのロングボールを、胸でトラップした。ボールをコントロールしてDFを抜こうとした瞬間、レフェリーの笛が鳴る。森谷のハンドと判定された。これが累積6つ目の直接FKに該当するファウルとなり、名古屋に第2PKが与えられた。これをFP森岡薫に決められて同点に追い付かれると、その32秒後にはリカルジーニョに、この日2点目のゴールを決められ、町田は3-4で敗れてしまった。

 昔から、森谷は胸でボールをトラップする際、両腕を上げるクセがある。試合後、森谷と正対する位置でトラップした瞬間を撮影していたカメラマンは、トラップの際にボールは腕に当たっていなかったと証言している。森谷自身も「最初は胸で止めた」と言う。だが、次の瞬間に腕に当たった感触が残った。「最初は胸で止めて、自分の体を入れ替えたときに腕に当たった感覚はありました。もちろん、ワザと狙ったプレーでもありませんでしたし…うーん。難しいですね。当たっちゃったという感覚はあったので」。

 この場面について、ジャッジは正確だった。だが、試合を通じて見ると、判断基準はバラバラだった。前半、名古屋は5つのファウル、町田は6つのファウルを取られたが、いくつかは不可解なものだった。ピッチ上でも、町田のファウルを取った場面で、名古屋の選手が審判に対し「今のプレーは、ファウルじゃないですよ」と、声をかける場面もあったという。選手同様に、レフェリーもミスをするものだが、結果として、それがこの日の町田には重く、重くのしかかってしまった。15節で浜松にも2-3で敗れていた町田は、今季のホームゲームで1分け5敗と未勝利が続く。

 森谷自身は「難しいですね」と、判定については多くを口にせず「前回の浜松戦に比べたら、今日は負けたゲームでしたが、前回の浜松戦に比べたら良くなっていた部分もありますし、ここから積み重ねるしかない。負けたゲームですが、この試合をきっかけに、次また良いゲームができるようにしたい」と、前を向いた。

(取材・文 河合拓)

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