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[選手権]「このまま行ったら勝てへん」星稜・寺村主将が決勝前日にチームを一喝

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 第92回全国高校サッカー選手権は明日13日、東京・国立競技場で決勝を行う。初の決勝進出を果たした星稜(石川)は12日、富山一(富山)との決勝に向け、都内で最終調整。約1時間半の練習は疲労を残さないよう負荷の軽いメニューとなり、最後はPK練習で締めくくった。

 選手がクールダウンのためジョギングしているときだった。河崎護監督が突然、選手を集め、厳しい表情で語り始めた。「最後に一喝した。浮ついたところを感じたので、一つクギを刺した」。前日11日、準決勝で京都橘(京都)に4-0で快勝し、国立で歴史的な1勝を挙げた。いよいよ決勝。大会を勝ち上がるごとに注目度は増し、この日の練習にも報道陣が大勢訪れていた。「勘違いしてしまったから」と選手に喝を入れると、その後はMF寺村介主将(3年)にバトンタッチ。河崎監督は選手の輪を離れ、寺村がチームメイトに話をした。

「『このまま行ったら勝てへんぞ』と言いました。『俺らは国立で勝っただけで、目標は日本一なのに、何を浮かれてるんだ』と。ちょっとフワフワしていたし、監督が言ってくれて良かった。大一番で一番アカン練習だった。このままじゃ勝てないという空気だった」

 ここで気を緩めるわけにはいかない。「星稜に来てからずっと日本一になりたいと言ってきた。次、勝てば、そのチャンスがある」という寺村にとっても、チームの弛緩した雰囲気は見逃すわけにはいかなかった。河崎監督が「寺村は私の気持ちを敏感に分かってくれるから」と絶大な信頼を置くキャプテンがゲキを飛ばし、チームは最後に引き締まった。

「内容も大事かもしれないけど、とにかく勝ち切りたい。日本一を取ったことがないし、内容がボロボロでも勝てたらいい。それに内容が付いてきたら最高だけど、とにかく勝ち切りたい」。並々ならぬ決意を口にした寺村。「何回もあるチャンスではない。選手たちと一緒に、持っているものを全部ぶつけて、その結果、優勝できれば」と話した河崎監督を胴上げするためにも、“最後の国立”で同校初、そして石川県勢初の優勝を成し遂げる。

(取材・文 西山紘平)

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