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泥臭く戦う、球際で負けない……“明秀日立らしさ”持つCB木村海斗、選手権で「チームに結果を」

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明秀日立高らしさを備えたCB、木村海斗が選手権での勝利を誓った

 第100回全国高校サッカー選手権は15日に組み合わせ抽選会が行われ、1、2回戦の対戦カードなどが決まった。抽選会時点で代表校が未定だったのは、茨城県と群馬県の2つ。茨城県予選は17日に5回戦が行われ、ベスト16が激突する。

 岡山内定GK谷口璃成(3年)擁する明秀日立高は、5回戦で日立一高と対戦。守りの要であるCB木村海斗(3年=境トリニタス出身)は選手権への意気込みについて、「去年、準決勝・決勝ベンチに入れてもらって、去年の(準優勝の)悔しさも知っているので、去年の先輩の分も返せたら良いと思っています。この期間になると去年の先輩たちの涙や『頑張れよ』という言葉が自分を後押しして、練習前とか『頑張ろう』という気持ちになります。選手権をしっかりと取って、チームに結果を残していければいい」。悔し涙を流して卒業した先輩たちの分も必ず全国切符を掴む。

 インターハイ予選は準優勝。決勝の前半、木村はCBでコンビを組むDF長谷川皓哉(3年)とともに鹿島学園高を封じ込んでいた。前に強い長谷川に対し、木村はPAやSB背後へのボールをことごとくクリア。「(負けたくないという)その気持ちは一番だと思います。自分が守ってやるという。最後の最後身体を伸ばして届くというところは練習からでもよくあるので。コーチングとか、気持ちとか、最後の最後この小さい身体でも身体を張るところだったり、チームのためにやれると思っています」というDFは身体を張ること、泥臭く守ることに対する躊躇が全く無い。夏の全国大会出場を懸けた戦いでも、その強みを表現していた。

 だが、後半半ばから連続でゴールを許し、同点に。特にロングスローのこぼれ球から献上した1点目は何としても自分が触らなければならなかった。結局、延長戦でも2失点し、3-4で敗戦。木村は自分の足が止まってしまったことを悔しがる。

 そこから、木村の姿勢は変わったという。走る要素のあるトレーニングは得意ではなく、以前は後方。だが、現在について萬場努監督は「(以前よりも)歯を食いしばって、向き合ってやってくれている」と認める。チームリーダーのMF中沢駿斗(3年)や谷口、長谷川のような中心選手ではないが、チームのために厳しく意見することができる人物。負けず嫌いなDFは「お手本」「ライバル」という長谷川の隣で学びながら成長し、夏の悔しさもぶつけて明秀日立の勝利に貢献するつもりだ。

 特別なサイズはないものの。対人守備には絶対の自信。萬場監督も「戦うということに関する今年の象徴的な存在というか、球際のところで負けないところとか、“明秀日立らしさ”をよく持ってくれている選手」と信頼する。

 指揮官が「今振り返れば勝つことに対してのシビアさに欠けた。僕たちが未熟だった。(あの敗戦がきっかけで)自分たちの力が一戦必勝で出せることに、より重きを置けるようになった」と振り返るインターハイ予選決勝。2点リードからライバル・鹿島学園高をさらにねじ伏せに行くような戦いをしてしまった結果、隙が生まれて逆転負けを喫した。選手権では勝つことに集中し、白星を一つ一つ積み重ねるだけ。その中で、誰よりも戦う木村は最後の際の部分で泥臭くチームを助け、勝利へと結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
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