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米子北の注目10番、MF中井唯斗は社会人で仕事とサッカーの両立に挑戦。選手権「得点王」、そして次のステージへ

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米子北高の10番MF中井唯斗(3年=鳥取KFC U-15出身)は鳥取決勝でも攻撃の中心として活躍

[10.29 選手権鳥取県予選決勝 米子北高 2-1 鳥取城北高 Axis]

 高校トッププレーヤーたちの進路はプロ、大学進学だけではない。選手権鳥取県予選13連覇を果たした米子北高の10番MF中井唯斗(3年=鳥取KFC U-15出身)は、トヨタ自動車(株) に内定。東海社会人サッカーリーグ1部に所属するトヨタ蹴球団というサッカーチームの一員となる。日本最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車に社員として勤務する傍ら、本気でサッカーを続けられる道を選んだ。

 中井は今年のインターハイ3位、プリンスリーグ中国で首位を走る米子北の中心選手。スキルの非常に高いサイドアタッカーはドリブル、切り返しでDFの逆を取り、決定的なシュート、ラストパスへ持ち込む。29日の選手権鳥取県予選決勝でチームは先制点を許したが、反撃の中心に。左サイドで存在感を放つ10番は、個人技、コンビネーションで鳥取城北高の守りを攻略し、チャンスを作り出していた。

「前半最初の方は緊張して思うようにできなかったんですけれども、感覚を掴んでからはハーフエリアでボールを受けて仕掛けることが自分は得意だったので、そういう自分の得意なプレーが出来て流れを掴んだ」と振り返る。一方で悪い流れの中でチームリーダーの一人として仲間を引っ張る部分が欠けたこと、また得点に繋がるプレーができなかったことを反省。課題を改善することを誓っていた。

 中井は関東1部の名門大学からの勧誘もあったほどのプレーヤーだが、本人は自身の将来のこと、家族のことも考えて恵まれた環境へ進むことを選択。「大学と就職でギリギリまで迷ったんですけれども、家族のこともあるので悔いはないです。トヨタ自動車㈱でトヨタ蹴球団の選手として、人としても、もっと成長を変えていかないといけない」と言い切る。これからは社会人として責任のある立場。プレーヤーとしてまだまだ成長を続け、天皇杯出場の歴史も持つトヨタ蹴球団が上のステージに行くための戦力になる意気込みだ。

 社会人の強豪チームで仕事とサッカーの両立をすることは簡単なことではない。相当な覚悟と体力、メンタリティも必要。中村監督も「めっちゃ大変だと思う。両立できるのは相当なメンタルじゃないといけない」と口にする。だが、米子北で挨拶、気遣いのある行動など、ピッチ外の部分から徹底してきたMFは、「米子北で積み重ねてきたことが社会人になってから活かせると思っています」。壁にあることがあるかもしれないが、一つひとつ壁を乗り越えて行くはずだ。
 
 トヨタ自動車㈱や米子北、高校サッカー関係者の協力、理解もあって得た今回のチャンス。強豪校から大学サッカーへ進む選手がほとんどだが、ポテンシャルの高い中井が社会人サッカーでどのような成長、将来を勝ち取るのか楽しみだ。中村監督は中井へ向けて、「自分に自信を持って、自分を信じてやって欲しい」と後押し。中井は「得点王を狙っていきたい」という選手権を経て名をさらに上げ、社会人サッカーでの両立に挑戦する。 

(取材・文 吉田太郎)
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