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高川学園中高6年目の秋に台頭。1か月半前にA2、そしてAチームの先発へ這い上がってきたMF松原朋榮は「まだやれる」:山口

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高川学園高MF松原朋榮(3年=高川学園中出身)は選手権への強い思いをピッチでぶつけている

[10.30 選手権山口県予選準々決勝 高川学園高 5-0 山口県鴻城高 おのサンサッカーパーク]

 新チームのスタート時は4つあるカテゴリーの一番下のチーム。1か月半前にはまだ上から3つめのチームにいたMFが現在、昨年度選手権3位・高川学園高のAチームで先発を務めている。

 MF松原朋榮(3年=高川学園中出身)はこの日、ダブルボランチの一角として先発。「ちょっと最初らへん緊張して、安牌なプレーが増えていた。もっと前に仕掛けたりアシスト、試合を決めれるようなプレーをしていきたい」。満足していなかったものの、課題としてきたセカンドボールを「全部拾うつもりで」回収。攻撃の舵取り役としても奮闘し、自信を持つキックでCKからアシストもした。

 なかなかAチームに入れなくても挫けず、サッカーを楽しむことを続けてきたという。その上で武器を伸ばすこと、課題の守備改善を目指してトレーニング。「ボールを受ける前に周りを見たり、自分の中でプレーの選択肢を増やすということを自分は意識してやっていて、あとはトラップの部分やパス技術の部分は自主練でも意識していました」。9月半ばに3つめのカテゴリーからA2チームへ昇格。すると、サッカーに懸ける強い姿勢と成長が見えた松原を江本孝監督は見逃さず、Aチームに抜擢する。

 指揮官は松原について、「以前は自分を出すことができていなかった」と説明。だが、自分のため、支えてくれた家族のため諦めなかったMFは、明らかな変化を見せる。Aチームのボランチが不足していたこともあって、A2チーム昇格からわずか一週間でAチームへ。本人も「最初はちょっと驚きで……お人好しなプレーをしていた」というが、得たチャンスを逃すまいと全力プレーを続けてきた。

 高川学園中時代は出番こそ得ていたものの、主に控え。それが中高6年目の秋に先発として躍動している。「悔しい時期も色々ありました。でも、自分は元々選手権という舞台を小学生時代から目指していて、親とも『選手権、絶対出る』からと約束していたので、最後絶対にメンバー入ってやろうという気持ちで頑張っていました。まさか、本当にここまで来れるとは思っていなかったです。みんなもやりやすい雰囲気を作ってくれている。自分はまだやれる、と思います。(準決勝、決勝も)しっかり無失点で勝って、自分がアシストやったり得点で親にも恩返ししていきたい」。憧れの舞台である選手権出場まであと2勝。特別な思いをピッチでぶつけ、選手権で躍動する姿を家族に見せる。

(取材・文 吉田太郎)
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