[11.5 選手権福岡県予選準決勝 九州国際大付高 0-3 飯塚高 ベスト電器スタジアム]

　5日、第101回全国高校サッカー選手権福岡県予選準決勝が行われ、飯塚高が九州国際大付高に3-0で勝利。2年連続での決勝へと駒を進めた。12日に行われる決勝では初出場をかけて東福岡高と対戦する。

　飯塚にとって九州国際大付高はインターハイ予選の決勝でPK負けを喫した因縁の相手。リベンジを誓ったこの日は、U-16日本代表のDF藤井葉大(2年)が「インターハイの決勝では序盤にどんどん前へ攻撃的に行けなかった。今日はみんなで負けた借りを返そうと、立ち上がりの入り方を意識していました」と振り返った通り、キックオフとともに高い位置からの守備を積極的に仕掛けて行く。

　ただ前から奪いに行くのではなく、強度も高い。「上手いだけでは、今まで選手権で優勝できなかった。足りない部分をどんどん補い合って成長していくのが理想的な考え。今までの分プラスアルファでフィジカルや走力をどんどん付け加えている」(藤井)のが今年の飯塚スタイル。豊富な運動量を活かし、前線から連動して相手ボールを狙い続ける。「蹴られるからどう対応しようではなく、蹴らせなかった良い。セットプレーが嫌だから、どう対応しようではなく、セットプレーを与えなければ良いという考え」。そう口にするのは、中辻喜敬監督だ。

　ボールを奪ったら推進力溢れるMF池田悠夢(3年)と原翔聖(2年)にボールを預けてサイドから見せ場も作って行く。前半10分に訪れた、高い位置でボールを奪ったFW芳野凱斗(3年)のシュートはGK與田和也(3年)に阻まれたが、16分には左サイドで藤井のパスを受けた池田がドリブルでPA左へと入り、ゴール前にパス。最後は反対サイドから走り込んだ原がダイレクトで合わせて、均衡を崩した。

　立ち上がり直後に放った藤井のシュートで幕が開けた後半も飯塚の勢いは止まらない。16分には右サイド高い位置でFKを獲得すると藤井がゴール前に低いボールを展開。「練習していた通り、良い所にボールが来たので、上手く流し込めた」と振り返る片山が右足で合わせて、2点目となった。

　一人でシュートを5本放つなど気を吐いたMF濵田大夢(3年)のプレーや、競り合いに強いDF米山凛(3年)らのパワフルなプレーを受ける場面もあったが、守備陣が落ち着いて対処し、終盤を迎えるとアディショナルタイム2分にはカウンターから3度目のチャンスを演出。右サイドを抜け出したFW大園治慈(2年)のパスから、DF清水剛志(3年)がゴールネットを揺らし、3-0で飯塚が勝利した。

　飯塚は2015年に中辻監督が就任して以来、ドリブル主体の代やパス回しを徹底した代など一癖も二癖もあるチーム作りをしてきた。2020年に松本山雅FC入りを果たしたFW村越凱光以来3年連続でJリーガーを輩出し、昨年のインターハイでは初の全国大会出場を果たしたが、選手権出場はまだない。初出場を目指す今年はこれまで拘ってきた上手さに加え、「細かいところが勝敗に繋がってくる。30cmのちょっとした所を意識して試合に挑んでいる」(片山)。試合終盤までタフに戦えるよう、夏には10日間に渡って厳しい練習を繰り返す合宿も行ってきたという。そうした取り組みの成果が2年連続での選手権予選決勝進出に繋がっている。

　決勝の相手は昨年の同じ舞台で負けている東福岡だ。「昨年も決勝の舞台まで行ったけど、惜しくも敗れて悔しい想いをした。決勝は出られていない選手も想いも背負って、絶対に全国へ行きたいです」。片山が意気込んだ通り、170人の部員の想いを背負って、新たな歴史を切り拓く。


(取材・文　森田将義)

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