beacon

借りを返す舞台へ…勝負所を制した高知が高知西を退け、2年連続18回目の選手権出場!

このエントリーをはてなブックマークに追加

高知高が2年連続18回目の選手権出場

[11.6 選手権高知県予選決勝 高知高 2-0 高知西高 春野陸上競技場]

 6日、第101回全国高校サッカー選手権高知県予決勝が行われ、高知高高知西高に2-0で勝利し、2年連続18回目の選手権出場を決めた。

「得点の奪い所は立ち上がりの所と、後半の残り10分。そこを勝負どころとして考えていた。逆にうちが失点するなら、そうした時間帯だとも思っていました」。そう振り返るのは、高知の大坪裕典監督。生まれた2ゴールは共に勝負所の前後半の立ち上がりに生まれたゴールで、高知の勝負強さが印象に残る試合となった。

 1点目が生まれたのは、前半5分。FW角田颯磨(3年)の仕掛けによって、左CKを獲得すると高知の選手5人がPA内で手を繋いでグルグルと回転するトルメンタを披露。MF南部翔太(3年)がファーに送った瞬間に一斉に散らばって、ボールを合わせに行ったが、相手にクリアされ、右CKとなった。今度のキッカーはMF松井貫太(2年)。対する中の選手は3人の輪が2つになって、中央でグルグルと回る。高知西の選手たちが中に目を奪われている隙に、ニアの選手にショートCKを入れて、リターンを松井がゴール前へ。最後はフリーのFW村田楓芽(3年)が頭で押し込み、高知が均衡を崩した。

 今年の高知はCKからの得点が一度もなかった。準決勝後に、決勝で勝つための秘策を考えた際に浮かんだのが、インターハイの1回戦で目の当たりにした本家・高川学園高のトルメンタだった。実際に経験し、対応が難しいのは選手たちがよく分かっている。決勝2日前のトレーニングで試して、手応えを掴んだため、決勝での導入に踏み切ったという。「ショートで上げれば、GKが出られないのは分かっていた。本当に狙い通りに決まってビックリしました」(角田)。

 先制点を奪ってからは一進一退の展開が続いた。高知は「あまりポジションを意識せず、自分が起点になるような動きを意識している」と話す松井が、持ち場である右サイドから自在に中央や左サイドに流れて、巧みなボールキープとパスでチャンスを演出した。20分には松井のサイドチェンジから、左サイドをMF大久保天満(2年)、DF濱口達也(2年)と繋いでクロス。ゴール前の角田が頭で合わせたが、シュートは枠の上を逸れた。

 対する高知西もDF岡田真聖(3年)と市川青空(3年)のCBコンビを中心にテンポよくボールを動かしながら、前線のターゲット役であるFW大川遼(3年)を目掛けてチャンスを伺った。だが、「うちのバックラインは絶対にヘディングで負けないし、1対1でも負けないというチームでの共通理解と自信はあった」と角田が胸を張るように、DF橋本拓実(3年)とDF森紺(2年)の2人がゴール前で自由を与えず、前半を高知が1点リードで終えた。

 高知に2点目が生まれたのは、後半開始28秒。MF神谷昂成(3年)、村田と繋いだボールが相手に当たって中央にこぼれたボールを神谷が拾って、左へ。受けた大久保が切り返しでDFをかわし、PA外から放ったシュートがゴールネットに突き刺さり、リードを2点差とした。

 後がない高知西は23分にDF坂上一颯(3年)がインナーラップからシュートを放ち、GKのファンブルを誘ったが、DFがクリア。終盤には3バックに変えて前線の厚みを増したが、最後まで集中力を保った高知の守りを崩しきれず、試合終了を迎えた。

 昨年の選手権は堀越高相手に持ち味を出しながらも、1-2で破れて初戦敗退。試合後に大坪監督は「この駒沢(選手権の舞台)に帰ってこないと借りは返せないよね」と選手に語り掛けたという。この日の勝利によって、借りを返すチャンスは掴んだ。あとはしっかり結果を出すだけだ。「新チームが始まってから、このチームには突出した選手がいないので、全員攻撃全員守備がカギだと思っている。全国でもチャレンジャーの気持ちでいれば、粘り強くやれるはず」と角田は意気込んだ。

 対する高知西は、高知南高との統合により、今年限りでチームとしての歴史を終える。今年は3年生のみで“最後の高知西高校サッカー部”として活動してきたため、この大会にかける想いは強かった。試合後、寺尾監督は悔しさを露わにする選手にこんな言葉をかけたという。「このチームは新人戦の2回戦でPK負けして、出鼻をくじかれた。インターハイは3位となり、今回は準優勝。自分たちの方向性というかやってきたことが成果としては出ているし、成長しているのは間違いない。あと1回大会があったら、優勝していた」。目標としていた選手権出場は逃したが、まだ県1部リーグの戦いは残っている。今のまま1位でフィニッシュし、有終の美を飾るつもりだ。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


 挑戦し続ける若者を応援したい、挑戦の先にある新たな扉を開くサポートをしたい、そんな想いから第100回大会より全国高校サッカー選手権へ協賛。日本一を目指す高校生たちの挑戦を全力でサポートいたします!

sfida 2022秋冬COLLECTIONはこちら

(取材・文 森田将義)

●【特設】高校選手権2022

TOP