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[MOM4087]西原DF上田ゆん(3年)_負けん気の強さとキャプテンシーで沖縄高校サッカーの歴史に1ページを刻む

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DF上田ゆん率いる西原高が2連覇達成

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.5 選手権沖縄県予選決勝 那覇西高 2-2(PK5-6) 西原高 タピック県総ひやごんスタジアム]

 PK戦を制した直後、DF上田ゆん主将は歓喜に沸く仲間たちの輪ではなく、約2時間に渡る死闘を演じた那覇西高の選手のもとへと真っ先に駆けた。目先で肩を落とす者、座り込む者、目を覆う者と、上田は分け隔てなく手を差し伸べ、肩をたたき、抱擁を交わす。「それができるやつなんです」と、西原高の玉城真哉監督も認める彼のリスペクト精神。それを見た仲間たちはすぐさま歓喜の輪を解き、主将と同じように健闘を称え合った。

「試合に勝ちたいという思いもあるけれど、まずは相手をリスペクトすることが大事なことだと考えていて。それができれば感情をコントロールできるし、試合中にどんなことがあっても自制できるのかなと思います」。

 1点を争う攻防戦も冷静さを失わず、たとえ意に沿わないプレーに出くわしたとしてもすぐに気持ちを切り替えてプレーに集中する。その平常心こそがチームの大黒柱として最も的確である。

 そのような思いが芽生えたのも、彼がこの一年間経験してきた「悔い」の連続にある。昨年、31年ぶりに選手権件予選を制し、第100回大会に臨んだものの、桐光学園高(神奈川)に0-1で惜敗。西原初の全国1勝は水疱となる。「自分は2年生でベンチに入っていたんですけど、先輩たちの涙が本当に忘れられなくて。そのためにも絶対に全国に行く」と誓った上田は選手権後、腕章を巻いた。

 しかし、新人戦は準決勝で那覇西に敗れて頂点に立てず。インターハイでは新型コロナで離脱者が続出し、コンディションも選手間の呼吸も整えきれないまま名護高戦に挑むが、初戦敗退を余儀なくされた。「あれがなければだとか、これをやっておけばだとか、本当に悔いを残してしまうことが多かった。なので、もっと気持ちに余裕が持てるようにと思って周りを見るようになりました」(上田)。

 選手権開幕前、「生活面から見直していこう」と、上田は朝練前のゴミ拾いやトイレ掃除といった朝活をみんなに勧めた。「一人でやるよりもみんなでやって、ゴミを拾い終えたあとに達成感が得られるし、気づく訓練にもなって練習の質も高まったと思います」と話す主将は、選手権の大舞台でも揺るがない平常心で状況判断ができる仲間たちの姿を見て、チームの成長を実感。大会中、受験で主力が抜けることがあっても助け合って乗り越え、決勝までの5試合で4試合が延長。うち3試合がPK戦までもつれる試合を乗り越え、テッペンにたどり着いた。

 今大会4試合目の延長戦となった決勝の那覇西戦で初めて足に痛みが走った。それでも「こんな大事なときに(途中交代して)抜けてたまるか」と、最後まで負けん気の強さとキャプテンシーを発揮し、チームをひとつにした上田を中心に、那覇西以外達成したことのない選手権県予選連覇を果たした西原は沖縄高校サッカーの歴史の1ページを綴った。

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(取材・文 仲本兼進)

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