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県勢に公式戦で2度敗れた悔しさをバネに…星稜が鵬学園に4発快勝! ライバル下して3大会連続の“選手権”へ

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星稜高鵬学園高を撃破

[11.6 選手権石川県予選決勝 星稜高 4-1 鵬学園高 西部緑地公園陸上競技場]

 昨夏の全国総体でベスト4に入り、今年はさらなる飛躍が期待されていた。だが、今季は春先から苦しみ、県新人戦では準決勝で敗退。夏の全国舞台も1回戦で昌平高に敗れ、9月下旬のU-18高円宮杯プリンスリーグ北信越では遊学館高に0-2の完封負け。2014年に選手権で優勝し、本田圭佑らを輩出してきた星稜高にとっては県勢に負けるのは許されないが、「遊学館に負けてからもチーム状態が悪かった」(FW山下陸/3年)。主将の言葉通り、今予選も状況が決して良いとは言えなかったが、鵬学園高との決勝では要所を締め、復調を印象付ける勝利となった。

 11月5日、第101回全国高校サッカー選手権石川県予選決勝が行われ、星稜は鵬学園を4-1で下し、3大会連続の選手権出場を手中に収めた。

 立ち上がりから一進一退の攻防が続くなか、口火を切ったのは今予選のアシスト王に輝いたMF宮前匠真(3年)だった。前半6分、相手の背後にボールが出ると、キャプテンの山下が身体を張ってボールを収める。そのこぼれ球に宮前が反応し、右足で流し込んだ。勢い付いた星稜は9分にも宮前の左CKからCB猿楽侑也(3年)が頭でネットを揺らし、開始10分で2点差とした。その後も試合内容は互角。むしろ鵬学園の方がテンポの良い攻撃を繰り出し、「セットプレーなどから得点は取れていたけど、鵬さんの方がボールを動かして良い内容で戦っていた。うちはギリギリのところで持っていただけの話」(河合信幸監督)。

 1点返されれば、一気に潮目が変わる可能性がある。そうした展開の中で星稜は身体を張った守備でピンチを凌ぎ、セカンドボールを回収してカウンターから好機を作り出していく。すると、またしてもセットプレーから立て続けにネットを揺らす。前半22分にCB高橋大空(3年)のロングスローから山下が追加点を奪い、同28分にも高橋のロングスローが溢れたところをPA外からMF平良大研(3年)が利き足ではない左足で豪快に蹴り込んで一気にリードを広げた。その後も要所を締め、落ち着いてゲームを運んでいく。前半はシュート5本で4ゴール。決定力の高さを見せ付け、ハーフタイムを迎えた。

 後半は相手に押し込まれ、同8分には坂本陽斗(3年)の右CKから最後はCB八十島陸翔(3年)に押し込まれて1点を返されてしまう。だが、ここからチームは再び集中力を高める。今まであればバタついてしまうケースもあったが、要所を締めてこれ以上の失点は与えない。前線からプレスを掛け続け、守備陣も粘り強い守備を披露。同31分には右サイドを突破され、坂本の折り返しからMF荒磯快生(3年)にゴール前でシュートを放たれるが、GK加藤夕暉(3年)がファインセーブ。最小失点で切り抜け、最後まで相手に反撃を許さなかった。

 今年のチームは県新人戦の準決勝で金沢高にPK負けを喫し、持ち直したタイミングで9月下旬のリーグ戦で遊学館に敗北。特に後者の敗戦は、全国総体や夏のフェスティバルで強豪校と対戦して自信を深めていただけにダメージが大きかった。当時を振り返り、河合監督は言う。

「正直、今日まで立て直せないまま今の今まで来てしまったと思っています。一部の人間はリセットしていたけど、全員が全員そうではなく、下を向いている選手もいた」

 特にキャプテンの山下は責任感が強い一方で、全てを抱えてしまう嫌いがある。チームの不調に頭を悩ませ、今予選は気持ちがから回して満足のいくプレーができなかった。だが、この決勝ではストライカーとしての仕事に集中し、自分にできるプレーを全う。指揮官も「決勝は彼なりに少しリラックスしてやれていた。彼の復調がなければ今日のゲームはなかったはず」と賛辞を送るほど。チーム全体でも良い意味で開き直り、前向きな姿勢で試合に挑めたことがプラスに働いた。

 苦しみながら掴んだ3大会連続の檜舞台。「過去2大会は1回戦敗退が続いているので、目の前の試合に集中して全員で勝ちたい」(山下)。精神的にも逞しくなったチームは2014年度以来の日本一を目指す。

(取材・文 松尾祐希)
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