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東山高DF新谷陸斗が堂々の選手宣誓! OB鎌田大地の姿からも刺激「可能性を示してもらった」

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東山高(京都)のDF新谷陸斗主将(写真協力=高校サッカー年鑑)

 第101回全国高校サッカー選手権は28日、国立競技場で開会式を行い、東山高(京都)のDF新谷陸斗主将(3年)が選手宣誓の大役を務め上げた。

 終了後、記者会見に出席した新谷は「80点。一語一語区切って言う時に早口になってしまったのでマイナス20点」と厳しい自己評価を口にしつつも、「聞いてくださる人々の皆さんに心に響く言葉を言おうと思っていた。緊張したけど、自分の言葉で伝えられて良かった」と笑顔を見せた。

 11月21日に行われた組み合わせ抽選会で大役が決まり、そこから約2週間で内容を決めたという新谷。その後は毎晩2回、風呂に入りながら読み上げ練習を行ってきた。また最後の仕上げには、学校の全校集会や開会式前日ミーティングで“実戦練習”を実施。自信を持って聖地・国立競技場の壇上に立った。

 現在の高校3年生は新型コロナウイルスが世界中を襲った2020年春に高校入学し、不自由な生活を迫られ続けた世代。宣誓の冒頭には感染対策のためチーム練習ができず、個人練習に明け暮れていた当時の記憶と、感染症対策に尽力した人々への感謝を盛り込んだ。

 新谷は会見で「入学当初は学校に行けない期間が2か月間あって、サッカーをできない期間が続いたけど、そこで仲間でサッカーしたいと強く思うようになった。それがこの3年間、一番印象に残っている」と当時を回顧。整列しながら宣誓を聞いていた他校の選手たちの胸にもそれぞれの記憶が蘇ってきたであろう、素晴らしいメッセージだった。

 また今月18日に決勝が行われたばかりのカタールW杯にも言及した。今大会では東山高OBのMF鎌田大地(フランクフルト)が主力を担い、グループリーグから決勝トーナメントまでの全4試合に先発出場。新谷も「東山高校からああいう舞台に立てると可能性を示してもらった。自分たちもW杯を見て、その舞台に立ちたいと強く思った」と刺激を受けた。

 そんな鎌田は在学当時、黄金時代を築いていた京都橘高に阻まれ続け、全国選手権の舞台に立つことはできなかったが、それでも高校時代の経験がもたらしたものは大きかった。決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦後には「自分を犠牲にしてチームのためにやろう、悔しい気持ちを抑えながらチームのためにやろうという感覚がしたのは高校サッカー以来。これが日本のために戦うってことなのかという感情が湧いた」とコメント。世界トップの大舞台を戦うにあたり、自身の高校サッカー生活を思い返していたのが印象的だった。

 新谷はそうした先輩の姿にも大きな感銘を受けていた。会見では「東山高校はサッカーの部分でもよく指導して下さるけど、それ以上に人間性を重視していて、挨拶や礼儀から指導をして下さる。鎌田選手が日本代表でチームのために貢献するということを話していて、自分のプレーを考えることはありつつも、それ以上にチームのことを深く考えることが多くなった。鎌田選手も東山高校で人間性の部分を学んだからこそ、日本代表の中で自分を犠牲にしてチームに貢献するというところをおっしゃられたのかなと思う」と自身の振る舞いにも影響を与えていたことを明かした。

 コロナ禍で過ごした3年間、世界の大舞台に挑んだ先輩の思いも背負って挑む全国大会。新谷が率いる東山が目指すのは「日本一」だ。29日の大会初戦では星稜高と対戦。「初戦が一番大事だし、明日の試合で一番重要なのは立ち上がり。立ち上がりから自分たちのサッカーができれば、自分たちの武器である縦への攻撃力と堅実な守備が出せる。そこができれば必ず勝てる」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)
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