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夏の後悔から努力を重ねてきた津工MF増山万太、国立で「恩返し」のゴール

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後半21分、津工高MF増山万太が右足シュートを決める。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.28 選手権開幕戦 成立学園高 3-2 津工高 国立]

 夏の悔しさを忘れずに練習を重ねてきたアタッカーが、大舞台でゴールを決めた。15年ぶりに出場した津工高(三重)は後半4分までに3点のビハインド。注目の国立開幕戦で点差が開いてしまったが、選手たちは諦めなかった。

 後半21分、右サイドへ抜け出したMF山副朱生(3年)がラストパス。PAでコントロールしたMF増山万太(3年)が右足でゴールへねじ込んだ。「トラップした時に前が空いていて、ゴールも近かったので打ちました。必死だったのでちゃんと当たりもしなかったんですけれども、それがGKの下に行ったので良かった」。GKの足元を抜けたボールはゴールラインをわずかに越えて1-3。すると、増山はスタンドの応援団を煽って盛り上げようとした。

「テンション上がっていたので。まだあの時は20分くらい残っていたし、地元からいっぱい来てくれて、押せ押せムードになっていたので、声出してもらってみんなで勝ちに行こうと煽りました」

 片野典和監督も「点取るあたりはさすがやなと。彼が点を取るのはウチの形なので。やっぱり増山やったかと思いましたね」というフィニッシャーの一撃。増山はインターハイ予選準決勝で決定機を外し、チームは全国への道を閉ざされている。

「あそこで決めていれば僕たちが勝って全国行っていたので、非常に悔しくて後悔もしたのでそれから後悔しないようにシュート練習を一本一本丁寧にやってきた」。選手権予選では4試合連続ゴール。そして、国立でもゴールを決めた。

 チームは1点差にまで迫ったが、2-3で惜敗。これが高校生活のラストゲームとなった。抜け出しや1タッチシュートを得意とする増山はこれまでチャンスを作り出してくれた仲間たちに感謝する。そして、国立で決めたゴールについて、「今まで頑張ってきたことが……今まで支えてくれた人への恩返しできたのかなと思いますし、良かったです」。悔しい思いを忘れずに努力してきたMFが、国立でゴールを決めて高校サッカーを終えた。

(取材・文 吉田太郎)
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