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[MOM4181]國學院久我山FW塩貝健人(3年)_狙うはぶっちぎりの大会得点王。都内屈指のストライカーは「1.5点の全国デビュー」

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國學院久我山高を牽引するストライカー、FW塩貝健人

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 近大和歌山高 1-3 國學院久我山高 駒沢]

「ちょっと期待外れですね。『もっとできただろ』と思います」。

 上々の全国デビュー、とは行かなかった。今大会の主役候補、國學院久我山高(東京A)のエースにして10番を背負うFW塩貝健人(3年=横浜FCジュニアユース出身)は自身のパフォーマンスについて、冒頭のように振り返っている。

 チームとして3年ぶりに出場した冬の全国。選手たちの緊張感は否めない。しかも開始5分でいきなりの失点。想定外が重なる中で、塩貝にも二重、三重の包囲網が敷かれていく。「いつもあのぐらい来ているので、アレには慣れているんですけど、今日は全然自分のボールにできなかったですね」。前半のシュートは直接ゴールを狙い、GKにキャッチされたFKの1本のみ。0-1のまま、40分間は終了する。

「自分たちは初めて全国に出ているので、みんな緊張していましたし、自分も全然調子が良くなくて、『自分が点を取らないとヤバいな』とは思っていたんですけど、チームとして焦っている感覚はなくて、ハーフタイムでもみんな全然落ち着いていたので、あとはオレが後半に1点獲れば、普通に乗っていくと思っていました」。気持ちを切り替えてピッチに向かった後半。ようやくストライカーの嗅覚が発動する。

 2分。左サイドをFW中山織斗(3年)がドリブルで切り崩すのを見て、すぐさまDFの死角を確かめながら、ファーサイドへと潜り込む。「『もうあそこしかないだろ』と思っていたので、タイミングもバッチリでしたし、枠を外さずに冷静に流し込めたので良かったかなと思います」。フリーで放ったシュートがゴールネットを揺らす。ついに手にした全国初ゴール。ただ、この男がそれで満足するはずもない。

 5分。右サイドからFW八瀬尾太郎(3年)がクロスをファーまで届け、中央にこぼれたボールを見極めた塩貝は、いち早く落下地点に飛び込んで左足を伸ばすと、同じように右足を伸ばしたMF高橋作和(3年)との“ツインシュート”が、カバーに入ったDFの頭上を越えて、ゆっくりとゴールネットへ到達する。

「狙っていました。もう狙い通りです。なんか作和のゴールって言われていたんですけど、全然オレのゴールなので、そう書いておいてください。得点王を狙っているので、オレのゴールです」。主張は実らず、公式記録は高橋のゴールに。言うなれば“1.5点”で逆転に貢献したというところだろうか。

 終盤には自身2点目を決めるチャンスもあった。2-1で迎えた後半アディショナルタイム。高橋がエリア内で倒され、國學院久我山にPKが与えられたが、スポットにはそのまま高橋が向かう。「作和はオレに『蹴る?』って聞いてきたんですけど、オレは『オマエが蹴れよ』って言いました。まあ、作和も目立ちたいと思うので、そこは譲ってあげたかなという感じです」。

 高橋がきっちり沈め、チームは3-1で力強く逆転勝利を収める。目立ちたがり屋だが、仲間想い。それも今シーズンのキャプテンを託されてきた塩貝の、キャラクターの一端だ。

 ようやく辿り着いた全国の舞台には、“先輩”たちの想いも背負ってピッチへ向かったという。「今日はビックリするぐらい応援がいて、OBの方もたくさん来てくれていましたね。自分が1年生の時の先輩たちは西が丘で負けて、その時はスタンドで応援していたんですけどメッチャ悔しくて、2年生の時も決勝で負けて、1年生の時のキャプテンの村上健や2年生の時のキャプテンの永澤昂大が『自分たちの目標はオマエらに任せるぞ』と言って卒業していったんです。やっぱりここで活躍するために3年間練習してきましたし、こういう形で初戦を勝てたことは良かったです」。

 ただ、もちろん自分の出来に納得など行っていない。いつも通りの強気な発言が、ミックスゾーンに低く響く。

「目標は優勝なので、これで油断せずに、大会を通して個人的にももっと点を獲れる選手になりたいし、もっとドリブルで剥がせる選手になりたいので、そこは選手権という場を通して成長したいなと思っています。ゴールも10点以上は獲りたいですね」。

 『1.5点の全国デビュー』。塩貝の真価は、まだまだこんなものではない。

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(取材・文 土屋雅史)


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