[1.2 選手権3回戦 日大藤沢 1-1(PK3-5) 神村学園 等々力]

　選手権を沸かせた“二刀流”が大会を去った。日大藤沢高FW森重陽介(3年/清水内定)は今大会3ゴール目を挙げ、直後にはCBでプレー。だが、PK戦の末に敗れた。「チームとしてベスト8に行けなかったことは悔しいですけど、みんなと後悔はないよねとしっかり話をした。この選手権での悔いはないです」と振り返った。

　今大会の3ゴールはすべてヘディングシュートで決めた。強敵・神村学園高との対戦で、先手を打ったのは日大藤沢。後半11分、左CKをDF宮崎達也(2年)が蹴り上げると、PA中央で森重がドンピシャのヘディングシュート。「やっと選手権で練習通りのCKができた。気持ちでしっかり決められた」。直後にはCBに移動。“二刀流”として今度は守備に奔走した。

　だが、追いかける神村学園の猛攻に屈した。後半15分に波状攻撃を受けて守備陣が混乱に陥ると、右サイドからのクロスにDF大川翔(3年)がPA中央でダイレクト。ゴールライン上に森重が立ちはだかり、好反応でボールに触れる。しかし、勢いを殺すことはできずにゴールラインを割った。「もう一歩、二歩前だったらもっと前にはじけた」(森重)。一瞬の判断ミスに悔しさをにじませた。

　3回戦敗退も涙は見えなかった。試合後、森重はロッカールームから千羽鶴を持って神村学園のバスを追いかける。笑顔で健闘を称え合う光景もあった。夏のインターハイでは悔いが残る初戦敗退。一方、冬の選手権は「自分たちのサッカーができてしっかり2回勝てた。そこに後悔はないです」とやり切った表情を垣間見せた。

　来季から清水エスパルスでプレーする。“二刀流”は「どっちであろうと結果を出したい」と継続させるつもりだ。初年度の目標は「Jリーグで点を取ること」。神村学園のFW福田師王(3年/ボルシアMG内定)とMF大迫塁(3年/C大阪内定)の存在が心を奮い立たせたようだ。「これからまたやるときはあると言われた。そのときに自分がもっとやれるんだぞという姿を見せられるように努力していきたい」。またいつかピッチの上で。その日のために研鑽を続けていく。

(取材・文　石川祐介)

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