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最後のロッカールーム…鹿島内定・昌平DF津久井佳祐、あえて厳しい言葉を下級生にぶつけた主将の思い

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昌平高DF津久井佳祐(3年/鹿島内定)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 全国高校選手権3回戦 昌平高 1-2 前橋育英高 駒場]

 込み上げてくるものを抑え切れなかった。1-2の逆転負けで試合終了を迎えた昌平高DF津久井佳祐(3年/鹿島内定)はピッチ上にうずくまる。その後、なかなか顔を上げることができなかった。

 悔しさがある。夏の総体では準々決勝・大津戦で右足首脱臼・靭帯断裂の大怪我を負い、その後はピッチに立てず。チームはベスト4敗退となり、「この借りは選手権で返したい」と力を込めていた。

 そして、迎えた高校最後となる選手権の舞台。3回戦で総体王者の前橋育英と対戦すると、読みの鋭さを活かしたカバーリングで危機の芽を摘み取り、対人の強さを発揮して相手攻撃を封じ込めようとした。

 チームは前半3分に幸先よく先制に成功。しかし、同13分に同点ゴールを献上すると、その後は切り替えの早さで上回る前橋育英に主導権を握られてしまう。「自分たちのサッカーができなかった。前半、点を決めて、すぐに決められて流れが悪くなり、そこから自分たちのペースに持ってこれなかった」。そして、後半10分にはダイレクトプレーの連続から決勝点となるゴールを奪われ、1-2の逆転負けを喫した。

 試合終了のホイッスルが鳴り響くと、ピッチ上にうずくまった。

「試合が終わるまでは笑顔で楽しもうと思っていたけど、終わったときに悔しさが…。インターハイの怪我が本当に辛くて、周りには大丈夫、大丈夫と言っていたけど、自分の中では本当に悔しくて…。そこが一気にフラッシュバックして、なかなか立てませんでした」

 キャプテンとしてチームの先頭に立って来た男は、最後のロッカールームで下級生に激しいゲキを飛ばしたという。「今日は後ろから見ていて、1、2年生が相手のプレスにビビッてしまい、自分たちのサッカーができなかった」。あえて厳しい言葉をぶつけたのも、「励ますのもいいけど、それでは彼らの力にならないと思った」から。それだけ、下級生の実力を信じている。

「本当に彼らのおかげでここまで来れたと思っている。だからこそ、こういう大きな舞台でいつものプレーができなかったのが悔しかった」

 選手権の舞台での“リベンジ”は下級生たちに託す形となり、自身はプロの世界へと飛び込んでいく。「これからのレベルは本当に違うと思っている。ただ、プロの世界でしっかり、(FC LAVIDA時代を含めた)6年間で得たものを発揮していきたい」と力強く語った。

(取材・文 折戸岳彦)
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