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「これだけゴール前に密集している試合ははじめて」履正社FW古田和之介が悔やむこと

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履正社の主将であり、エースストライカーも担ったFW古田和之介(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 佐野日大高 1-1(PK5-4)履正社高 駒沢]

 1回戦と2回戦で合わせて10ゴールと、攻撃陣が爆発している履正社高(大阪)だったが、続く3回戦では、5-4-1でブロックをつくる佐野日大高(栃木)を攻略できずにいた。「『そこの中を怖がらずに入っていけ』って言っていたんですけど、なかなか入っていけなかったですね」と戦況を見ていた平野直樹監督は、「勇気を持ってやれ」と発破をかけていた。

 佐野日大高(栃木)が、この試合最初で最後のシュートをDF青木柾(3年)が放ったのが、後半2分。履正社ゴールのネットを揺らした。後半20分には、MF名願斗哉(3年=川崎F内定)がゴールをこじ開けたが、シュートまで持ち込めない展開が続いた。

「シュートを打ちたかったな、もっと。エリアに入っているので、繋ぐのがサッカーじゃないから。いかにシュートをやるか、あまりにシュートが少なすぎた」。平野監督の指摘どおり、1回戦と2回戦ではそれぞれ18本、15本を放っていたシュート数は、3回戦では5本に減少していた。

 今季のプレミアリーグWESTで、得点ランキング2位タイとなる14ゴールをマークしていたのFW古田和之介(3年)は、その前評判に違わず、1回戦と2回戦で連続ゴールを決めていた。しかし、この日はゴール前を厚く守る佐野日大に、とまどいとストレスも感じていた。「真ん中で僕が立っても人が多かったので、自分も中盤に関わろうと思った」。佐野日大の壁から逃れるように、1トップから中盤におりてきて組み立てにも参加。古田にとっては「これだけゴール前に密集している試合ははじめてだった」といい、ピッチでは効果的な攻撃を見出せずに時計の針は進んでいった。

「もっとゴール前に行ってシュートを打っていたら、結果も変わったのかなと思います」。試合でできなかったことが悔やまれる。

 主将として牽引した最後の冬は、PK戦に敗れて終わりを告げた。古田には高校の3年間だけでなく、中学も含めた6年間ともにプレーした選手が、この日3人ピッチに立っていた。名願、DF加藤日向(3年)、DF東尾大空(3年)。古田も含めた4人は、G大阪ジュニアユースから履正社へと進学していた。ユースへの昇格がかなわなかったことをバネに、履正社で切磋琢磨してきた。

「6年間一緒にやってきて仲がいいですし、思いは強い」(古田)

「一番やってきた月日が長いので。これからは一緒ではないんですけど、また同じステージでできるように、おたがいがんばっていきたいです」(名願)
 
 高校日本一という目標はかなわなかったが、次のステージでの活躍を誓った。

(取材・文 奥山典幸)
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