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神村学園は全試合0-1ビハインドから4強入り! 指揮官にバトンつないだ栢野監督代行「本当にホッとした」

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神村学園高が4強入り

[1.4 選手権準々決勝 青森山田 1-2 神村学園 等々力]

 3試合連続で1点ビハインドを跳ねのけた神村学園高が、初出場の2006年度以来16年ぶりのベスト4入りを決めた。体調不良の有村圭一郎監督がチームを離脱していた中、監督代行として率いた栢野裕一コーチが大仕事。指揮官は準決勝から復帰する予定だといい、栢野コーチは「本当にホッとしています」と笑顔を見せた。

 前回王者・青森山田高との準々決勝。神村学園は前半34分にミスから失点を喫する苦しい展開を強いられたが、そこから見事に盛り返した。

「今大会は初戦で逆転勝ちしたところから“後半勝負”で行けると選手たちも感じている」(栢野コーチ)。初戦2回戦の山梨学院戦は前半4分に失点するも、そこから3ゴールで逆転勝利。3回戦の日大藤沢戦でも後半11分に先制点を奪われたが、すぐに追いついてPK戦で勝利し、“必勝パターン”に自信があった。

 0-1で迎えた後半開始時、代役指揮官は1年生ながら10番を背負うFW名和田我空(1年)を投入し、反撃に向けてスイッチオン。同16分にエースFW福田師王(3年/ボルシアMG内定)のポストプレーからFW西丸道人(2年)が同点弾を決めると、同20分に福田が逆転弾を沈め、3試合連続でビハインドを跳ね除ける形で、06年度以来となるベスト4進出を決めた。

 栢野コーチが勝因に挙げたのは昨年12月、金沢U-18を4-3、C大阪U-18を2-1で破ったプレミアリーグプレーオフでの成功体験だった。「プレミア参入戦から劣勢のゲームでも粘り強くやれるところが出ていた。今までの積み重ねが成果として出ているのかなと感じている」。その結果、試合巧者として知られる青森山田から見事な逆転勝利。「粘り強くやりながらリズムを持ってきたのは選手たちの成長だと思う」と手放しで称えた。

 有村監督は順調に回復しており、7日の準決勝・岡山学芸館戦からは復帰予定。ともに鹿児島実高の同窓生の栢野コーチが見事にバトンをつないだ。2人は1995年の第74回大会で、ともに全国優勝(静岡学園との両校優勝)を成し遂げた間柄。栢野コーチは指揮官の復帰に向けて「うちとしてはプラス材料が非常に多いので、みんなで力を合わせてやりたい」と喜びを語った。

 また鹿児島県勢にとっても全国優勝は、2004年度の第83回大会で鹿児島実高が成し遂げて以来の悲願。2人はこれまで「強い鹿児島を取り戻す」という合言葉で戦ってきており、本命・青森山田相手の勝利はその兆しを印象付けるものとなった。

「青森山田高校が往年の鹿児島実業のような感じで、黒田先生(黒田剛総監督)は松澤先生(かつて鹿児島実を率いた故・松澤隆司氏)から学びながらやってきたということで、僕らも松澤先生の教え子なので、ここで時代を変えたいと思っていた。また違うサッカーで日本サッカーを盛り上げていきたいと話していた。ここで新しい時代、歴史を作れたのでここから強い鹿児島を取り戻せたらと思う」。2人にとっては27年ぶりの国立決戦。日本一の味を知る指導者のもと、神村学園が覇権奪回に挑む。

(取材・文 竹内達也)
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