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ここに来てチームは急成長…履正社が金光大阪を退けて4年連続の決勝進出!

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決勝進出を果たした履正社高

[11.5 選手権大阪府予選準決勝 金光大阪高 1-2 履正社高 ヨドコウ桜スタジアム]

 第102回全国高校サッカー選手権大阪府予選準決勝が5日に行われ、金光大阪高履正社高が対戦。MF長谷怜(3年)の2ゴールによって、履正社が2-1で勝利した。

 プレミアリーグWESTでは黒星が先行し、最下位に沈む履正社だが、今年のチームが弱いわけではない。ここに来てチームとして成長は著しい。勝負どころできちんと力を発揮した結果が、激戦区・大阪で4年連続となる決勝進出に繋がった。

 リベンジにかける想いの強さがプレーを後押ししたのは間違いない。「夏のインターハイは準決勝で金光大阪に負けてしまったので、やり返してやろうという気持ちが強かった」と話すのはゲームキャプテンを務めるFW河野朔也(3年)だ。金光大阪の出鼻を挫こうと試合開始からサイドを仕掛けると7分には左サイド高い位置でのスローインを獲得。リスタートを貰ったMF宇都宮翔菜太(3年)が低いクロスを入れると、ファーサイドから走り込んだMF長谷怜(3年)がダイレクトで叩き込む。

 順調なスタートダッシュとなったものの、リードは長く続かない。河野はこう話す。「CBと中盤の間が空いてしまって、相手のフリーで持たれた。外からではなく中を攻められたので、ピンチが増えてしまった」。15分にはFW太田陸斗(3年)のスルーパスから、FW岡田涼馬(3年)にゴール前を抜け出されたが、GK二宮智輝(2年)が上手く距離を詰めてストップ。18分には上田の右クロスがゴール前にこぼれた所をMF田島悠玖(2年)に狙われたが、履正社のDFに当たってCKとなった。

 DF陣が集中力を切らさず対応し続けたが、20分にはクリアボールを金光大阪のDFに大きく弾かれると岡田がポストプレー。太田が遠めから放ったシュートがゴール左隅に決まり、試合は振り出しとなった。以降も押し込まれる時間が続き、後半8分には交代で入ったばかりのFW上田大翔(3年)にクロスバー直撃のシュートを打たれるなど嫌な流れを断ち切れない。

 我慢の時間が続いた履正社だが、後半半ばからはこの試合のポイントとして挙げた相手SBへの仕掛けが再び機能し始める。27分にはジョーカー役として交代で入ったMF木村有磨(3年)のパスから長谷が左サイドを突破。ゴール前のパスを河野が合わせるなど、2点目への期待も高まっていく。すると、31分には相手のクリアボールをDF田村遊吏(3年)がヘディングで前線へ。木村がこのボールを頭で逸らすと受けた長谷がDFをかわして右足シュートを叩き込み、2-1で履正社が勝利した。

 MF名願斗哉(現、川崎フロンターレ)、DF西坂斗和(現、徳島ヴォルティス)を擁した昨年は選手権で優勝候補にも挙げられた好チーム。下級生から試合に絡む選手はいたが、主力と言えるほどの存在はいなかった。指揮官はこう評する。「昨年、先輩たちの傍にいて乗っかっている子はいたけど、そこで一緒にやっていると言える子はいなかった」。

 良いプレーが続けば得点が生まれる一方、一つのミスが起きれば失点もある。負けないためにはミスをカバーする選手が必要だ。そうした勝負の大事なポイントは真剣勝負で身に付いていく。今年の代はプレミアでの戦いを通じて学ぶはずだったが、なかなか上手く行かない。しかし、負ければ終わりの選手権に入ってからは変化が見られつつある。「プレミアで負けが続いていて、このままでは選手権も負けると思っていた。選手権が始まるまでの間は練習からピリつかせて負けが続かないよう意識しました」(河野)。

「今年のチームは失点が多くて、課題と言われていた。この選手権では個人としてだけでなく、組織としてしっかり守備するのを大事にしてきた。プレスバックや、一人ひとりの距離を徹底できていると思う」と続けるのは6月以降、スタメンに定着したDF伊藤大成(2年)。この日は失点した物のゴール前で危ない場面があっても粘り強く対応する姿、チャンスを得点に繋げる姿が見られたのは大きい。

 平野監督は「勝ちに繋げていくために、目の前のワンプレーがどれだけ大切かが少し分かったんじゃないかな」と口にする。時間はかかったが、ようやく明るい兆しが見えてきた。全国行きを決めれば、大会までの1か月半で更に伸びていくだろう。成長を止めないためにも決勝でも履正社は白星を奪い取るつもりだ。

(取材・文 森田将義)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

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