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[選手権]誰がピッチに立ってもOK! 草津東が3発快勝!! 全国舞台返り咲きを狙う伝統校が準決勝突破:滋賀

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[11.5 選手権滋賀県予選準決勝 草津東高 3-0 水口高 布引グリーンスタジアム]

 昨夏のインターハイは3年ぶりに出場した一方で、冬の選手権は県予選決勝で近江高に1-4で敗れた。リベンジを期した今季も夏の全国舞台には届かず。決勝で近江に0-3で敗れ、延長戦まで持ち込みながらまたしても出場権を逃した。

 このまま負け続けるわけにはいかない――。3大会ぶりの選手権出場を狙う草津東高がテクニカルなスタイルを追求しながら、決勝の舞台に駒を進めた。

 5日、全国高校サッカー選手権の滋賀県予選準決勝が行われ、草津東は水口高と対戦。序盤から主導権を握り、効果的に得点を重ねて3-0で勝利を掴んだ。

 試合を通じて、攻守で相手を上回った。「今年は機動力がある。能力をしっかり生かすためにはボールを動かして、スペースに走る。その狙いを持って、チームに落とし込んできた」と牛場哲郎監督が胸を張った通り、立ち上がりから積極的にボールを動かしていく。

 シャドーに入るFW森健斗(3年)とFW成宮結太(2年)、1トップのFW上原周(2年)が自由に動いてボールを引き出す。誰かが中盤に下がってボールを受ければ、他の選手が相手の背後に飛び出してチャンスを作った。

 前半10分には今大会初スタメンとなった森がペナルティエリア内で仕事をやってのける。「ファーストタッチは自信がある」(森)。相手に当たったボールを中央で受けると、相手をキックフェイントで外して冷静に右足でゴールを射抜いた。

 リードを奪った後は少しトーンダウンしたが、守備陣が粘り強く対応する。中盤の底でプレーするMF小楠聡太(3年)を中心にセカンドボールを回収。「番犬」と指揮官が称するキャプテンが球際で戦い続け、守備から攻撃に移行する際のキーマンとなった。

 後半に入っても運動量は落ちず、強度の高い守備とパスワークを主体として攻撃で相手を圧倒。同8分には左ウイングバックのMF木原一輝(2年)のクロスに上原が頭で合わせる。GKに弾かれたが、こぼれ球を右ウイングバックのMF塩尻狼太(3年)が押し込んでリードを広げた。以降は選手を代えながら、慌てずにゲームをコントロール。同33分にはMF藤田晴大(3年)のラストパスから途中出場のMF葉賀諒(3年)がネットを揺らし、勝負の行方を決定付ける3点目を奪った。
 
 3-0の快勝で決勝進出を決めた草津東。2000年に選手権で準優勝を果たしてから長らく県内の高校サッカーを牽引してきたが、近年は苦しい戦いが続いている。07年に野洲高が全国優勝を成し遂げたとしても切磋琢磨しながら戦ってきたなかで、ここ数年は全国大会に行けない年も珍しくなくなった。17年度から19年度まで3年連続で選手権に出場した一方で、以降の3年は予選で敗退を余儀なくされている。

 思うように結果を残せないなかで、今年は近江のBチームがU-18高円宮杯プリンスリーグ関西2部に昇格。そのため、県リーグ1部では近江のCチームと対戦することになり、全国レベルを知る場が減った。その現状を変えるべく、牛場監督は例年以上に強豪校との練習試合をマッチメイク。大学生とのゲームも多く取り入れた。

 そうした取り組みの結果、選手層が厚くなり、誰を起用してもクオリティーが落ちないようになってきた。準決勝で先制点を決めた森もそのひとり。準々決勝までは攻撃の切り札として途中からピッチに立っていたが、この準決勝では今大会初スタメンながら結果を残した。

 2年ぶりの選手権にまた一歩近付いたが、緩みはない。決勝の相手はインターハイの決勝と昨夏の選手権予選で敗れた近江と再戦する。「一発勝負なので、ランキングやカテゴリで決まるわけではない。自分たちが相手を上回ることを来週のゲームで求めていきたいです」とは牛場監督の言葉。もう悔し涙を流すわけにはいかない。伝統校復活を果たすべく、チャレンジャー精神で決勝の舞台に立つ。

(取材・文 松尾祐希)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
松尾祐希
Text by 松尾祐希

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