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[MOM4516]近江GK山崎晃輝(2年)_元清水GKとの出会いで越境入学を決断! 2年生守護神が躍動して好セーブ連発

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GK山崎晃輝

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 選手権滋賀県予選準決勝 近江高 1-0 立命館守山高 布引グリーンスタジアム]
 
 縁もゆかりもない。見ず知らずの場所で新たなチャレンジをスタートさせた守護神が躍動した。

 立ち上がりから相手のロングスローに手を焼き、自陣で耐える時間帯が続く。下馬評では相手を上回っていたが、一発勝負の戦いは何があるか分からない。一歩間違えれば、スコアが逆になっていたとしても不思議ではなかった。特に前半に苦しんだなかで、チームを救ったのがGK山崎晃輝(2年=愛媛U-15)だった。

 ハイボールに対しても勇気を持って飛び出し、相手の決定機には機敏な動きでシュートを阻止していく。最大の見せ場は前半26分のシーン。右CKからファーサイドでMF加納波留(3年)にヘディングシュートを打たれてしまう。味方DFと相手FWが重なり、ブラインドになって難しい対応を迫られたが、即座に反応してゴールを許さなかった。

 以降も安定した守りでゴールを預かり、相手に得点を許さない。チームは後半に巻き返し、土壇場で決勝点をもぎ取って1-0で勝利。苦しい時間帯を凌いで決勝進出を果たせたのも、最後尾に山崎が構えていたからだった。

 出身は愛媛。小学校時代はCBで主にプレーし、PK戦の時だけゴールを守る“二刀流”プレーヤーだった。そこで面白さに目覚め、愛媛U-15で本格的にGKへ挑戦。メキメキと力を付け、U-18に昇格できるレベルにまで到達した。だが、選手権への憧れがあり、高校サッカーへの挑戦を決意する。そこで指導を受けていた黒河貴也GKコーチの伝手で、清水時代のチームメイトでもある近江高の前田高孝監督を紹介され、滋賀で新たな戦いを始めることになった。

 1年生の頃はAチームで戦った一方で出場機会を掴めなかったが、今季は春先からレギュラーとして活躍。U-18高円宮杯プリンスリーグ関西1部の開幕直前に負傷するアクシデントがあっても、「待ってるぞ」とスタッフ陣に声をかけられるほどの信頼を勝ち取った。「入学してから、めちゃくちゃ巧くなった」というGK岡本航太朗(1年)の存在も大きい。ハイレベルなポジション争いの中で刺激を受け、常に危機感を持ちながらプレーして成長を続けてきた。

 GKとしては小柄な180cmだが、跳躍力と度胸があり、ここ一番でのセービングはピカイチ。そのパフォーマンスにはキャプテンのDF金山耀太(3年)も太鼓判を押す。

「去年からAチームにいたので責任感も感じられる。先輩からも愛されているキャラ。(誰に対しても)強く言えるところも持ち合わせている」

 憧れはブラジル代表のGKアリソン・ベッカー(リバプール)と日本代表のGK大迫敬介(広島)。前者はセービングと距離の詰め方、後者は勝負強さと攻撃の起点になるキックを参考にしている。頼りになる2年生守護神は決勝の舞台でどんなプレーを見せるのか。再びチームを救い、全国舞台に導けるか注目だ。

(取材・文 松尾祐希)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
松尾祐希
Text by 松尾祐希

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