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[MOM4538]東海大大阪仰星FW水永直太朗(3年)_「吸収力はチームで1番」。主将が大阪決勝でハット!

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東海大大阪仰星高FW水永直太朗主将が大阪決勝でハットトリック

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 選手権大阪府予選決勝 履正社高 0-4 東海大大阪仰星高 ヨドコウ]

 3点目を決めた後、高々と上げた右手の指を3本立てて、ハットトリックをアピールした。第102回全国高校サッカー選手権大会の大阪大会決勝、全国への切符をかけた大一番で、東海大大阪仰星高を勝利へ導いたのはキャプテンのFW水永直太朗(3年)だった。

 先制点となる1点目は22分。FKのこぼれ球にゴール前で反応し、右足のシュートがポストの内側を叩いてネットを揺らした。2点目は後半開始直後の1分、左クロスを味方が折り返したところを頭で押し込む。そして25分、相手守備陣のミスを逃さずにシュートを決めて、大舞台でのハットトリック達成となった。

 準々決勝までは3試合連続で得点を決めていたが、近大附高との準決勝はノーゴールだっただけに、大一番で決めたゴールに喜びを爆発させている。「1点目も2点目も足を止めずに動き続けていたことが良かったです。(大舞台でのハットトリックは)素直に嬉しいですね。監督の言っていたことを実行して、結果に結びつけることができました」と笑顔を見せた。

 試合全体についても「自分たちのサッカー人生を変えようと挑んだ試合。『履正社に2連覇はさせない!』とみんなで話していたし、対策もしてきました。それが上手くいきましたし、相手のスピーディーな攻撃に対して受身にならずにアグレッシブに、みんなでコミュニケーションをとりながら戦えました」と振り返っている。

 中務雅之監督は「僕としては、まだまだやって欲しいところがある。彼に求めるものは高いです。ただ、ああいう感覚は中学時代に試合に出れていない選手なんですが、高校時代にいろんなものを結びつけて、ゴールを獲るところへ持っていけていると思います」と決勝での活躍を評価した。

 中学時代に地元・枚方から自転車で約1時間かけて通っていた宇治FCでは、3年生になってもメンバー外が多かった。この代は関西大会を勝ち抜いて全国大会出場を果たすなど好選手が集まっていた中で、水永は悔しい思いをしている。高校入学後も状況は大きく変わらず「2年生でも試合に出れるか、出れないか」(中務監督)。一方で「吸収力はチームで1番だと思う。こちらのサッカー観や過去の成功例を伝えると、そこへチャレンジして、ピッチ内での再現性を高めていきました。入学当初と比べて継続性や連続性は着実によくなっています」と中務監督も成長を認めている。

 得点を量産するタイプではないが、試合の状況を把握しながら判断をして、前線で身体を張ってチームの為に戦うことができるFWだ。守備でサボらず、攻撃では相手DFと競り合いながら起点となる。その姿勢は決勝戦でもブレることなく、そこにハットトリックというご褒美も付いてきた試合だった。

 キャプテン就任は選手間の話し合いで立候補して、指導陣が承認した。決め手となったのは「東海大仰星への愛。それがこの学年で一番高いと感じたので、彼に託しました」(中務監督)。近年の東海大仰星は大事なところで勝ちきれないことが続く中で、チームを変えるためのアイデアや仲間へのアプローチを表現できるとことが、指導陣に評価された。

「中学時代の経験の少なさはネックだったけれど、仲間の助けもあって今の彼があると思う。部員133名をうまく持っていくには難しい部分があるし、そこは彼も苦労しているだろうが、ここから下級生達が出てくる中で、水永がどうチームをまとめていくのか、見てみたいですね」(中務監督)と指揮官も期待を寄せている。

 水永も「チームを引っ張る難しさもあったけれど、3年生を中心にみんなが付いてきてくれました。精神的にも成長することができたと思います」とチームメイトの支えに感謝している。とくに宇治FCから共に東海大仰星へ入学した中山蓮、松川奨吾、櫻田大翔、芝谷壽汰の存在は「かなり助かっています」と水永にとって大きいようだ。

 全国行きは決めたが、その前にプリンスリーグ関西1部の残り3試合も待ち構えてる。現在、プレーオフ出場圏内の2位につけており、首位の京都サンガU-18とは勝点差3。3位と4位とも勝点差1と余談を許さない状況ではあるが、プレミアリーグ昇格への道が見えている。後輩たちへ高校年代最高峰の舞台を残して、3年生にとって最後の大舞台である選手権へ挑む覚悟だ。「この学年で日本一を獲るんだ。その気持ちで日々の練習を取り組んできました。より良いチームにしていきたいです」と更なる成長を誓っている。

(取材・文 雨堤俊祐)
●第102回全国高校サッカー選手権特集

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