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[MOM4564]神村学園MF高橋修斗(3年)_長期離脱から復調のレフティーが左足の鮮烈弾で決勝点!憧れ、ライバルの兄・大悟超えへ

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後半23分、神村学園高MF高橋修斗(3年=屋久島町立中央中出身)が左足で決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.15 選手権鹿児島県予選準決勝 神村学園高 3-1 出水中央高 白波スタ]

 長期離脱から戻ってきたレフティーが、神村学園高を決勝へ導いた。1-1の後半20分、神村学園は右サイドにMF高橋修斗(3年=屋久島町立中央中出身)を投入。コーチ陣から「試合決めて来い。右に入るから、カットインで試合決めて来い」と送り出された高橋が投入直後に決勝点を決めた。

 後半23分、神村学園は左サイドからロングスロー。このクリアがファーへ溢れると、「溢れた瞬間にもう、自分のコースだなと思った」という高橋が切り返しから左足を振り抜く。枠へ蹴り込むことを重視した一撃は、クロスバーをかすめてファーサイドのゴールネットに吸い込まれた。

 殊勲の背番号8は右手を突き上げてスタンドへ。「巻いて、ファーは完璧でした。自分でもビックリしました」と微笑む。高橋は1年前の選手権予選準決勝・出水中央高戦でも先発し、先制点を決めている。

「去年も同じピッチで同じ出水中央さん相手に決めて、『今年もやってやろう』って気持ちだったんで。応援も来てくださってほんとに興奮しましたし、やればできるんだなっていうのを、怪我から復帰してやればできるんだなっていうのを、証明できたかなと思います」

 高橋は今季、強豪・神村学園で先発出場を続けていたが、6月に右ひざを負傷して長期離脱。インターハイは登録メンバーから外れ、チームも不振に陥った。「凄くタイミング悪く、『何で自分なんだろう』って思ったりしたんですけれど、どうにかしてこの冬戻ってくるっていう思いでやっていた」。仲間たちのサポートを受け、必死のリハビリで選手権を目指してきた。

「『早く戻って来い』とか『焦らず選手権に向けて』って言ってくれていて。それも自分の復帰のための力になった」。11月、12月のプレミアリーグWESTで交代出場。そして、この日は仲間たちの前で恩返しのゴールを決めた。

 決勝点は神村学園OBの兄で同じレフティーのMF高橋大悟(現町田)のような左足シュートでもあった。兄は高校時代、伝統の「14」を背負った絶対的なエースで主将。全国舞台でも活躍し、高卒で清水入りを果たしている。今年は町田の10番を背負い、J2優勝、J1初昇格に貢献した。

「正直まだまだだと思うんですけど、少しは『高橋大悟の弟』の名に恥じないようにはなってきたのかなっていう。まだまだですけれども(微笑)」。中学から神村学園へ進学した兄に対し、弟は「打倒・神村学園」を目指して中学時代は地元・屋久島でプレー。だが、高校は「(神村学園に)憧れました。結局は。日本一を取るためには、やっぱり神村学園が一番だった」と兄と同じ進路へ進んだ。

 偉大な兄と比較されることは現在、自分のエネルギーに。「正直、最初は嫌っていうか、比べられるのがちょっと苦だったんですけど、最近は『どんどん比べて欲しい』『自分の方が上行ってやる』っていう風に思っています」。小柄ではあるものの、2年時から先発も経験している実力派レフティーは、戦う姿勢も持ち味。今回の選手権を憧れであり、「一番のライバル」だという兄超えに繋げる大会にするつもりだ。

 全国まであと1勝。この日は得点後、クロスの精度を欠いただけに修正して決勝を戦う。「自分はまだまだこんなもんじゃないなって思う。(先発復帰も目標だが、)チームが勝てるなら途中からでも全然いいですし、とりあえずチーム最優先で行けたら良い。まずは明日」。神村学園の名を轟かせること、自身の高校選抜入りも目標に掲げるレフティーが決勝でも神村学園の勝利に貢献する。

 
(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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