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[MOM4561]岡山U-18GK近藤陸翔(3年)_被シュート22本も「しっかりチャレンジできた」初のプレミアに導く完封劇

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 岡山U-18 1-0 京都U-18 エディオンスタジアム広島]

 ファジアーノ岡山U-18のシュートが6本に対し、京都U-18のシュートは22本。“我慢の展開”という表現がよく似合う試合を無失点で終え、プレミアリーグ初昇格を引き寄せたのは、最後尾で積極的なチャレンジを続けたGK近藤陸翔(3年)の存在が大きかった。

 京都とは7月の日本クラブユース選手権(U-18)でも対戦。怪我から復帰した直後であったため、近藤はベンチから試合を見守っていたが、セットプレーから3失点したため、警戒すべきポイントは明確だった。「京都サンガさんはセットプレーが強いので、そこをしっかり自分が取りに行けるよう意識していました」。前半はリスタートだけでなく、流れの中からもクロスを上げられる場面が多かったが、ハイボールに積極的に挑み続ける。こぼしたとしても、相手よりも先にキャッチしてシュートを打たせない。

 猛攻に出た京都U-18に押し込まれ、自陣での時間が増えた後半も近藤は集中力を切らさない。前半同様、アグレッシブにハイボールに出続けるとともにDF裏へのボールに対しても果敢に出て行いく。後半25分にはスルーパスから、FW兎澤玲大(3年)がゴール前を抜け出した場面も先に触ってストップ。「思い切っていかなかったら、やられていた部分もあると思う。やられるならしっかり行って、後悔した方が良いと思っていたので、しっかりチャレンジできたと思います」。

 プレミア昇格の立役者となった近藤だが、これまでの高校生活は満足の行く活躍ができていたとは言い難い。愛知県の尾張FCから岡山U-18へと進んだが、2年生の時には剝離骨折で出術を経験。復帰後も肩を亜脱臼し、プレーできない時間が少なくなかった。

 同級生に中学からファジアーノでプレーするナジ・ウマル(3年)がいた影響もある。高校2年から定位置を掴み、トップチームの練習参加を経験。今年はトップチームの2種登録されている実力者だ。「1年生で岡山に入った時から、ウマルは凄い選手だった。最初は本当に追い付けるかなと思いながら、何とか食らいついて行った」(近藤)。3年生になるまでは出場機会を得ても単発だったが、怪我から復帰したクラブユース選手権のグループステージ第3戦、いわきFCから定位置を掴むと、プリンスリーグの後期は存在感を高めていった。

 元々はメンタルの弱さが課題だったが、今の姿からはひ弱さを一切感じない。「チームを後ろから支えるのがGKだと思っていて、コーチ陣にも言われてきた。そこを成長するために、チーム状況を考えた声かけを大事にしてきたので、そこが一番成長した部分」。変貌を遂げることができたのは刺激し合えるライバルがいたからでもある。「ナジルとは今でも良い仲間で、切磋琢磨してきたからこそ今日の結果が出たと思うので、本当に感謝しています」。

 卒業後は関西の大学に進学予定で「大学でも早くスタメンに定着したい」と意気込む。この先も今のまま右肩上がりの成長曲線を続ければ、再び岡山のユニフォームを身にまとう日が必ず来るだろう。そうした期待を抱かせる活躍ぶりだった。

(取材・文 森田将義)
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森田将義
Text by 森田将義

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