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U-17W杯で学んだ神村学園DF吉永夢希は左SBに戻って推進力発揮。選手権で1試合でも多く戦い、成長して欧州へ

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神村学園高のU-17日本代表左SB吉永夢希(3年=ソレッソ熊本出身)はアグレッシブな攻め上がりを見せた

[12.15 選手権鹿児島県予選準決勝 神村学園高 3-1 出水中央高 白波スタ]

 1試合でも多く選手権を戦い、鹿児島、日本のサッカーファンに「吉永夢希の姿を印象づける」。神村学園高のU-17日本代表左SB吉永夢希(3年=ソレッソ熊本出身)は、高校から直接欧州に渡ってプロになる決断。2023-2024シーズンからベルギーの強豪・ゲンクへ加入することが決まっている。

 渡欧前に、国内でプレーする機会はあとわずか。16日の選手権鹿児島県予選決勝を最後の公式戦にするつもりはない。「多分、明日もたくさんの方が応援してくれますし、自分のプレーを多分見に来てくれる人もたくさんいると思うんで、しっかりアシストだったり、点でチームを勝たせて、チームを今年ずっと離れてたんで、最後、しっかりチームに恩返しできるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。

 この日は4-4-2システムの左SBとしてプレー。U-17ワールドカップ、また神村学園でも一列前でプレーしていたが、今大会はより走力を発揮できる左SBを務めるようだ。「こっち(SB)の方が、走って、チャンスができる」。同じくU-17日本代表のMF名和田我空(2年)と左サイドでコンビ。「目を合わせずに、自分が出せばそこに走ってくれたり、あっちも目合わせずに出してくれるんで、そこで絶対崩せると思う」という連係の良さを見せてチャンスを作り出していた。

 また、この日は攻め上がりを連発。「やっぱり我空が警戒される分、自分が後ろから走れば2対1を作れば、自分が活きると思うんで、そこは今日は頭に入れながらやっていました」。U-18年代トップクラスの推進力を発揮し、PAへ侵入してシュートも。相手の粘り強い守備の前に得点、アシストこそなかったものの、特長を発揮した準決勝だった。

 U17アジアカップでは突破力を発揮し、貴重なゴールをアシストした吉永だが、U-17ワールドカップは悔しい結果に終わった。「(世界では)自分の良さが出ずに、持って仕掛けてクロスってのも本当に難しかったんで、そこの1対1の個の力っていうのもやっぱつけないといけないですし、そこで打開できないと世界では通用しないなっていうのを感じました」と振り返る。

 世界のサイドアタッカーは非常に強力。吉永はそれをケアするため、自陣PAまで戻って守備をするシーンが増えていた。「ワールドカップでサイドハーフがやっぱ強力だったんで、そこで走って、(守備から)攻撃に出て行く力っていうのが、出せずに終わったんで、その体力っていうのもつけないといけないなっていうのは感じました」。世界との真剣勝負で課題が見つかった。この経験を必ず糧にする意気込みだ。

「自分のストロングポイントが全然通用しなかったり、ウィークポイントがたくさんあった大会で、もう本当、悔しい大会になりましたけど、このワールドカップっていうのを1つの通過点として次、U-20ワールドカップだったり、その先のオリンピックもあるんで、そこを目指しながら頑張っていきたい」。すでにU-17ワールドカップメンバーからU-18日本代表へ個人昇格している選手もいる。自分も世代の中心選手になり続けてU-20ワールドカップやオリンピックを目指していく。

 3年間成長させてもらった神村学園で1試合でも多く戦って、次のステージへ。16日の選手権予選決勝へ向けて吉永は、「この3年間、ずっと一緒に3年間やってきた仲間もいますし、怪我で出れないやつ、メンバーに選ばれてないやつもいますし、そういうやつの分まで背負って戦わないといけない。しっかり明日勝って、全国に行きたいと思います」。世界で学んだDFは、厳しい戦いで勝ち続け、少しでも成長して欧州へ渡る。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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