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5か月ぶりに先発復帰の川崎F内定FW神田奏真が2発。静岡学園が6-0快勝、前向きな課題も

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静岡学園高はともにJクラブ内定のFW神田奏真(右)とMF高田優(10番)がゴールを決めるなど6-0で快勝。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 静岡学園高 6-0 明徳義塾高 駒場]

 エース復活の静学が6-0発進――。第102回全国高校サッカー選手権は29日、1回戦を行い、浦和駒場スタジアムの第1試合で静岡学園高(静岡)と明徳義塾高(高知)が激突。静岡学園が6-0で快勝した。

 東京V内定GK中村圭佑主将(3年)、川崎F内定FW神田奏真(3年)、徳島内定MF高田優(3年)とJクラブ内定3選手を擁する静岡学園は、「入りから仕掛けよう」という川口修監督の言葉通りにファーストプレーから相手をプッシュ。3分、左CKのこぼれ球を高田が左へはたくと、MF志賀小政(3年)がクロスを上げる。最後はGK前へ飛び込んだCB大村海心(3年)が右足でゴールへ押し込んだ。

 先制した静岡学園がその後もボールを保持して明徳義塾を押し込む。明徳義塾はサイドで2対1を作って相手のドリブラーたちに対応。GK岡本友希(2年)がファインセーブを見せたほか、MF一ノ瀬隆介(3年)が奪い返しからロングシュートを打ち込むなど前への意識も持って戦っていた。

 だが、静岡学園は16分に鮮やかな崩しで追加点。左サイドでダイレクトパスを2本繋いで打開すると、左中間のMF庄大空(3年)がDFを剥がして前進する。そして、前方のスペースへパスを入れると、走り込んだ神田がダイレクトで右前方へラストパス。これで抜け出した右SB野田裕人(2年)が右足シュートを左隅へ流し込んだ。

 明徳義塾も一ノ瀬や左SB坂元悠真(2年)のインターセプトから速攻。27分には坂元が右サイドから蹴り込んだ左足CKがニアの静岡学園の選手に当たってゴール方向へ向かった。静岡学園の守りがややバタついていたこともあり、相手を押し返す時間帯もあった。

 だが、静岡学園はボールサイドに人数をかけて取り返す。そして、志賀の連続での切り返しや、神田が浮き球を跳躍しながら胸トラップしたシーンでは、どよめきの声も。ただし、前への意識が強くなり過ぎていたため、数的不利な状況での強引なドリブルや、ボールロストと決して内容は良くなかった。

 川口監督は「非常にミスの多い試合で、我々スタッフは全然満足してない。チャンスで決めるってところもできてなかったし、そういうところのクオリティはまだまだ」と指摘する。それでも、次に繋がる部分も多かった。

 両足甲の手術から復調した神田が、インターハイ以来となる公式戦先発で2ゴールを叩き出した。後半10分、静岡学園は右サイドでボールを奪い返すと、野田のクロスを中央の神田が豪快なヘッドで決めて3-0。スタンドからはこの日が18歳の誕生日だった神田を祝福する「ハッピバースデー、奏真!」の大合唱が巻き起こった。

 さらに13分にも、抜群のスピードで右サイドを切り裂いた野田のクロスを再び神田が頭で決めて突き放す。その後、選手交代を繰り返した静岡学園はチャンスを作る一方でミスも増加。それでも、30分にMF泉光太郎(3年)の左CKを大村が頭で右隅へ流し込んで5-0とした。

 諦めずに1点を目指す明徳義塾もシュートまで持ち込んで見せたが、GK中村を中心とした静岡学園の守りをこじ開けることはできない。静岡学園は試合終了間際にも高田が鮮やかな左足FKを決め、6-0で広島国際学院高(広島)との2回戦へ進出した。

 静岡学園の川口監督は課題が見つかったことを前向きに捉えていた。「課題が出た方が、やっぱり次に繋がるんで。良い課題が出て良かったかなと思います」とコメント。また、神田は「課題は多分いっぱいあったと思うんで、そこを改善しつつ、もっともっとチームで良くして、もっと圧倒して勝ちたいと思っています」と引き締めた。初出場で準優勝した76年度大会、いずれも優勝した95年度大会、19年度大会と同じ6-0でのスタート。静岡学園は快勝の中で見つかった課題を改善し、2回戦も勝つ。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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