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[MOM4576]明秀日立FW根岸隼(3年)_出場わずか4分後に大仕事…またもや“結果”で応えた指揮官の信頼厚いジョーカー

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途中出場直後に決勝点を奪った明秀日立高FW根岸隼(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 選手権1回戦 明秀日立高 2-0 徳島市立高 等々力]

 背番号10がベンチから途中出場のためにタッチラインへと向かう。何かをやってくれそうだ――。そんな雰囲気を漂わせる明秀日立高(茨城)FW根岸隼(3年)は、見事にチームを勝利へと導くゴールを奪取してみせた。

 日本一に輝いた夏の全国高校総体で、その勝負強さは実証済みだった。1回戦の静岡学園戦、そして3回戦の青森山田戦ではともに途中出場で後半アディショナルタイムに決勝点を記録。強豪校撃破の立役者となった。さらに選手権茨城県予選決勝・霞ヶ浦高戦でも途中出場でゴールネットを揺らしていた。

 選手権初戦で出番が巡ってきたのは、0-0のまま迎えた後半12分。そして、わずか4分後に試合を動かすゴールを奪ってみせる。

 右サイドから切れ込んだMF益子峻輔(3年)がミドルレンジから強烈なシュートを放つ。クロスバーを叩いてはね返ったボールに誰よりも早く反応したのが根岸だった。「峻輔がシュートを打ったタイミングでこぼれてきそうだという予感はあった」。ヘディングで合わせたシュートでゴールを陥れ、値千金の先制ゴールが生まれた。

 勢いに乗ったチームは26分にFW石橋鞘(3年)の鮮やかな直接FKで突き放すと、そのまま逃げ切って2-0の完封勝利を収めて初戦を突破した。

「自分としてはスタメンで出て活躍するのが一番だと思っている」。ジョーカー起用に葛藤もあるようだが、「でも、今の立場で自分のできることをチームのためにやりたいし、こうしてゴールを取って勝たせることができて良かった」と胸を張る。

 チームを率いる萬場努監督も「得点に全精力を傾けてほしいと伝えている。選手権予選の決勝でも取ったし、今日も大事なところで決められるのは彼の特長。インターハイの静岡学園のときから起用としては、なかなか彼も苦しい部分があると思う」と根岸の心境に理解を示す。その上で、「根岸や竹花(龍生)が、あの時間から行けるのは我々の強みの一つ。彼の力あってこそだと思うが、チームとしては本当にありがたいと思っている」と絶大なる信頼を寄せている。

 今後もジョーカーとしての起用が続くと思われるが、やるべきことは一つ。「夏冬連覇を狙えるのは自分たちしかいない」と再び頂点にたどり着くため、チームに勝利をもたらすゴールを狙い続ける。

(取材・文 折戸岳彦)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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