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県1部リーグ40発、選手権予選21発、インハイ全国でも3発の点取り屋。帝京大可児の2年生FW加藤隆成が選手権でまず1ゴール

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ゴール量産中の2年生ストライカー、帝京大可児高FW加藤隆成が選手権初戦でまず1ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 帝京大可児高 2-1 柳ヶ浦高 駒場]

 23年シーズンは岐阜県1部リーグ16試合に出場し、圧巻の40発。また、今回の選手権県予選では決勝の5ゴールをはじめ、計21ゴールを叩き出している。インターハイでも3得点をマークしている帝京大可児高の点取り屋、FW加藤隆成(2年=帝京大可児中出身)が選手権初戦でまず1得点だ。

 0-1の後半14分、帝京大可児はMF松井空音(2年)の縦パスをMF明石望来(2年)が落とし、サポートした背番号10が左中間からPAへ潜り込む。そして、左足一閃。「(明石の動きによって)自分の縦のコースが開いて、もう縦行ってファーに振り抜くってところを意識的に決めていたので、うまく入って良かったです」と振り返る一撃がゴール右隅に決まった。
 
 前半は、ゴール前でコンパクトに守る柳ヶ浦高の前にシュートゼロ。「その中でもスペースっていうのはちょっとあったんで、しっかり首を振ってそのスペースを見つけるってところを意識していました」と加藤は説明する。相手のわずかなミス、DFラインのズレを狙い続けた10番は後半に訪れたファーストチャンスを見逃さなかった。

 得点を取ることに対して、絶対的な自信を感じさせる。「県リーグとかで、結構チャンスもあって、そこで決定力っていうのを磨いてきたので、『2本に1本ぐらいは決めれる』っていう、結構な自信があるので、今回も決めれて、良かったです」。この日の同点弾のように、両足のキック精度を活かしてコースに正確なシュートを放つことができ、小さな振りからでも、また仲井正剛監督の助言で磨いてきた1タッチシュートでも決め切る力がある。鋭い動き出し、推進力も兼備。帝京大可児のチャンスメーク力の後押しも受けて量産中だ。

 仲井監督は「今年、(帝京大可児が)県リーグってこともあって、加藤が取らない試合は練習試合でもほぼないんで、(後半14分の得点は)『遅いぞ』って言いたいぐらいですね」と微笑む。ゴールの起点となったMF松井空音(2年)も、「いつもチームが苦しい時に、隆成の決定力でやっぱチームを支えてくれるし、救ってくれるので、とても助かってます」と信頼を寄せるエースが試合の流れを変えた。

 松井の決勝点にも係わって1ゴール1アシスト。ただし、本人は満足していなかった。「決定機が最後あったんで、ストライカーとしてはあそこで決めて、やっぱ試合を決めないといけなかった。そういうところでは、まだこれから。勝ったんで、(これからの試合で得点する)チャンスもあるんで、そこはしっかり決め切れるストライカーになりたいです」と引き締めていた。

 その加藤は野心も口にする。選手権で活躍すれば、多くのスカウトにアピールすることが可能。「やっぱ上に行けば行くほど見てもらえるんで、そういうところでは、やっぱもっと有名なチームとやっていって、もっと自分を見てもらえれば良い」。この日、帝京大可児の前の試合で2得点を挙げた静岡学園高FW神田奏真(3年、川崎F内定)や、1回戦で3ゴールの市立船橋高FW郡司璃来(3年、清水内定)といった高体連を代表するストライカーたちにも負けないほどの得点力をこれから発揮するか。

「(神田選手や郡司選手は)やっぱ3年生ってところもあって、結構体が強かったり、尊敬できる部分もあるんですけど、自分も負けないように。やっぱ、『加藤隆成がいたから勝てるっていう選手、チームになりたい』です」と力を込めた。動き出しのデパートリーが多いというマンチェスター・シティFWアーリング・ハーランドがお手本。インターハイでは加藤の得点が止まった3回戦で桐光学園高(神奈川)に敗れているだけに、今回の選手権は2回戦以降も必ず決め続ける。
 
(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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