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スーパーサブFW谷中習人の2Gで後半ATに逆転! 帝京長岡が長崎総科大附を下して2回戦へ

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帝京長岡高が2度のビハインドを跳ね返して勝利をつかんだ(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 帝京長岡高 3-2 長崎総科大附高 柏の葉]

 観客を魅了する点の取り合いとなったのが、帝京長岡高(新潟)と長崎総合科学大附高(長崎)の一戦だった。

 シーソーゲームの幕開けを告げたのは、長崎総合科学大附MF大屋麻尋(3年)の50m級ロングシュートだった。中盤で横パスをカットした大屋は、ドリブルでハーフラインを超えるやいなや、シュートを選択。高いポジションをとっていたGK小林脩晃(2年)はバックステップを踏みながら左手を伸ばすも及ばず、8番の左足から放たれたロングシュートがゴールネットを揺らした。

 そのまま長崎総合科学大附がリードしたまま前半を折り返すかと思われたアディショナルタイム1分、中盤からギアを上げて人数をかけて攻めると、左サイドに流れたFW畑遼河(3年)のクロスに、ペナルティエリアまで上がっていたボランチのMF橋本燦(3年)が滑り込みながらゴールに流し入れて、1-1で最初の40分は終わった。

 帝京長岡は後半に布陣を変更、長崎総合科学大附の右SHであるFW甲斐智也(3年)への対策として、「池田で十分に対応できるかなと思ったんですけど、攻守においてちょっと今日はいいところが出せなかった」(谷口哲朗総監督)点を考慮して3バックへとシフト、DF高萩優太(3年)、DF山本圭晋(2年)、DF池田遼(2年)の最終ラインに、MF原壮志(3年)を左WBへポジションを移して、対処を試みた。

 続くこの試合の3点目は、帝京長岡の谷口総監督が「縦の突破は警戒していた」という甲斐が起点となる。後半19分、右サイドの深い位置で甲斐がボールをキープ、一度FW福島文輝(3年)に下げる。福島は右サイドのDF市丸夢人(3年)にあずけると、市丸のクロスをキャッチにいったGK小林がこぼしてしまったところを、MF仲宗根惺(3年)がバイシクルのような形でゴールに蹴り込み、長崎総合科学大附が再びリードを奪う。

 2失点目から2分後、ゴールが必要な場面で帝京長岡は最初の交代枠を使用。県予選6ゴールのFW新納大吾(2年)ではなく、FW谷中習人(3年)を投入する。これには「(谷中を)一番手に使った川上(健)コーチの采配にちょっとビックリしたところもある」と、谷口総監督にとっても意外性のある起用だったが、結果的にこの采配が勝利のターニングポイントとなる。

 後半27分、左サイドの橋本がハイラインをしく長崎総合科学大附の背後へスルーパスを送る。抜け出した谷中が左足でGKとの1対1を制して、帝京長岡がまたしても同点に追いつく。さらに、後半アディショナルタイム1分、再びDFラインの背後をとって左足でシュートを放つも枠をとらえることはできない。

 PK戦突入かと思われたアディショナルタイム2分に、シーソーゲームに終止符を打つゴールが生まれる。帝京長岡の原が左サイドでボールを受けると、味方4人がつめるゴール前へクロス。谷中が胸トラップで処理をすると、左足を振り抜いて劇的な決勝を挙げた。

「やっぱり3点取られたら勝てないですよ」と長崎総合科学大附の定方敏和監督は肩を落とした。

 勝利した帝京長岡は、31日の2回戦で市立船橋高(千葉)と対戦する。

(取材・文 奥山典幸)

●第102回全国高校サッカー選手権特集

奥山典幸
Text by 奥山典幸

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