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帝京長岡が6度目の挑戦で悲願のプレミア初昇格、4チーム同時昇格の快挙

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帝京長岡がプレミアリーグ昇格を決めた

[12.10 プレミアプレーオフ2回戦 帝京長岡2-1浦和ユース 広島広域公園 第一球技場]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024に参入する権利をかけたプレーオフ2回戦が10日に行われ、帝京長岡高(北信越1/新潟)は、2-1で浦和レッズユース(関東2/埼玉)に勝利した。プレーオフ挑戦は、6度目。谷口哲朗総監督は「プレッシャーになるので『今年こそは』というのを、なるべく言わないようにして『いつかは行けるだろう』という言葉にしていたのですが……本当にスタッフがよくやってくれて、その思いが選手に乗り移り、良い形で(気持ちを)汲み取ってくれた」と感激で言葉を詰まらせながら、悲願のプレミア初昇格を喜んだ。

 主導権を奪い合う好勝負だった。試合開始直後は、3年ぶりのプレミア復帰を狙う浦和ユースのペースだったが、5分を過ぎると、帝京長岡がプレッシングとボールポゼッションで主導権を奪取。前半18分、右DF松岡涼空(3年)から中央でパスを受けたFW堀颯汰(3年)が前を向くと、左足でファーサイドへのシュートを決めて先制した。さらに、同22分にはMF橋本燦(3年)のシュートがクロスバーを直撃。同39分にもDF山本圭晋(2年)の対角フィードを受けた右MF原壮志(3年)がドリブルシュートを放ったが、クロスバーをたたいた。

 対する浦和ユースも、素早いパス回しからMF河原木響(3年)、MF松坂芽生(2年)のダブルボランチにつないで反撃。前半36分に左MF会田光希(2年)のサイドチェンジを受けた右MF相賀天晴(2年)が前進し、ボレーシュートのフェイントで相手をかわしてGKと1対1になった場面は決定機だったが、決め切れなかった。

 そして勝敗を大きく左右する1点が生まれたのは、前半終了間際だった。帝京長岡は、右サイドで堀がロングパスに抜け出してカウンターアタック。カットインから左足シュートで追加点を決めた。

 2日前に徳島ユース(四国1/徳島)との延長戦5-5の大激戦をPK戦で制して勝ち上がってきた浦和ユースは、後半開始から2人を交代。特に、長身DF阿部慎太朗(2年)は、積極的な持ち上がりで攻撃を活性化した。後半11分にMF深田京吾(1年)、後半16分にMF阿部水帆(3年)を投入。ロングフィードの多用で相手を大きく振り回す攻撃が機能し、試合のペースを奪った。

 後半21分、阿部水の左足シュートは惜しくも相手GKに阻まれたが、この場面で得た右CKからこぼれ球をつなぎ、FW清水星竜(3年)が押し込んで1点を返した。その後は互いに攻め合い、69分には、両チームともゴールネットを揺らしたが、オフサイド。終盤は、1点を追いかける浦和ユースが攻勢だったが、帝京長岡は、後半34分に選手交代で4-4-2から3-6-1に布陣を変更して対応。浦和ユースは、長身DF阿部慎を前線に上げてパワープレーを展開したが、ゴールは遠かった。アディショナルタイムには途中出場のDF横山海斗(2年)が2度目の警告で退場。拮抗した勝負だったが、帝京長岡が2-1で逃げ切った。

 帝京長岡は、プリンスリーグ北信越2部を戦ったセカンド、新潟県1部を戦ったサード、新潟県2部を戦ったフォースの3チームがすでに昇格の権利を得ており、トップチームの昇格により、4チーム同時昇格が決まった。谷口総監督は「2番目、3番目のチームもプリンスを戦える。プレミアに出場しているだけでは、選手自身が(トップチームに)生き残れない環境を作れば、選手は自ずと伸びる。難しいとは思いますけど、本当にチャンピオンを目指してやる」と新たな舞台でも頂点を狙う意欲を見せた。

 チーム史上初のプレミア昇格を成し遂げ、チームは、もう一つの大目標に向かう。2得点で勝利に貢献した主将のFW堀は、年末年始に行われる高校選手権に向けて、「(過去最高成績の)ベスト4を超えて優勝して、そこも新たな歴史を作れたらと思う」と意気込んだ。もう一つ、新たな歴史を刻むつもりだ。

(取材・文 平野貴也)
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平野貴也
Text by 平野貴也

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