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[MOM4587]市立船橋GKギマラエス・ニコラス(2年)_「俺の番が回ってきた」起死回生の連続PKストップ!“勝利勘違い”には照れ笑い

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PKストップで勝利したと“勘違い”

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 帝京長岡1-1(PK4-5)市立船橋 柏の葉]

 絶体絶命の場面だった。PK戦で後攻だった市立船橋高(千葉)は4人目で蹴ったDF内川遼(3年)が失敗。続く帝京長岡の5人目を止めなければ、敗退が決まるところだった。

 だがそこに守護神が立ちはだかる。GKギマラエス・ニコラス(2年)はFW谷中習人(3年)のPKを右に飛んで止めると、6人目のMF橋本燦(3年)のPKでも連続ストップ。大逆転勝利を呼び込んだ。

 2度目のPKを止めると、そこで勝負がついたかのように大喜びで応援スタンドの方に駆けて行った。ただ当然それは勘違い。「嬉しさのあまり先攻だったことを忘れてて」。つい数分前までスタジアム中の視線を集めていた17歳は、初々しく照れ笑いを浮かべた。

 PK戦で勝ち上がりを決めることになったが、「自信しかなかった。俺の番が回ってきたと思った」という。夏のインターハイでも市船は2回戦で大津高をPK戦で撃破。ギマラエス・ニコラスにも、苦手なイメージは一切なく、この大会に向けても、“企業秘密”だと明かすことはなかったが、シュートを誘い込む技術に磨きをかけてきたようだ。

「これを止めたら俺はヒーローになれるんだという思いでやっていた。PKには自信しかなかった。(後半アディショナルタイムに足立)陽が(シュートを)外したんですけど、それで責任を感じていたので、『大丈夫、俺の番が回ってきただけだから』と声をかけた。練習の中でもPKは得意なので、自信はありました」

 ブラジル人の父とフィリピン人の母の間に生まれた。フィリピン国籍で、昨年夏にはU-16フィリピン代表に選出。同10月に行われたAFC U17アジアカップ予選では日本代表とも対戦(●0-3)した。17歳年上の姉、そして双子の兄の3人きょうだい。兄・ギマラエス・ガブリエルも市船サッカー部に在籍しており、今日の試合はメンバー外で裏方に回っていたが、PK戦後に「よくやった」と涙を流しながら声をかけてくれたことが嬉しかったと笑みを浮かべた。

 難敵との熱戦を制して勝ち上がった年明け初戦の3回戦で戦う相手は、星稜高に決まった。ただどこが相手でも、自分たちがやることは変わらないと強調する。「まずはしっかりリカバリーをして、どういう試合になるかは分からないですけど、できる準備はしたいなと思います」。この日の2回戦でも多くの会場でPK戦による決着がみられた。そのPK戦に絶対的な自信を持つ守護神がいることは、今後の戦いにもいい影響を及ぼすことになりそうだ。

(取材・文 児玉幸洋)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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