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[MOM4590]昌平MF長璃喜(1年)_後半40+4分に兄も感謝の同点ヘッド。兄弟一緒に戦う冬をまだまだ続ける

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後半40+4分、昌平高MF長璃喜(1年=FC LAVIDA出身、11番)が起死回生の同点ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 昌平高 1-1(PK4-3)米子北高 埼玉]

 兄とともに戦う選手権。1年生の弟が兄の“高校ラストゲーム”を先延ばしにした。0-1の後半アディショナルタイムは、提示された3分を経過。いつ試合終了のホイッスルが鳴ってもおかしくないような状況だった。ここで昌平は右のMF大谷湊斗(2年)のドリブル突破から右SB田中瞭生(3年)がクロス。これを交代出場のU-16日本代表MF長璃喜(1年=FC LAVIDA出身)がジャンプヘッドでゴールへ叩き込んだ。

 抜群の突破力を注目される長璃だが、ヘディングシュートでのゴールは“レア”。10番で兄のU-17日本高校選抜MF長準喜(3年=FC LAVIDA出身)も「(頭で決めたのを見るのは)初めてですよ」と驚く一撃が敗退直前のチームを救った。

 長璃は「ヘディングは全く練習していないです。アップでも(チームはシュート練習で)ヘディングやるんですけれども、自分は……。、ゴールシーンはあんま覚えていなくて。本当に身体が勝手に動いた」と振り返る。本人も驚くヘディング弾で2戦連発。兄から感謝の抱擁を受けた弟は「(兄はまだ無得点なので)次は頑張って欲しいです」と微笑んでいた。

 系列の強豪クラブ、FC LAVIDAでは1年時から公式戦の先発を務めていた注目株。今春の高校入学前に開催されたフェスティバル、「エクロガ」(23年3月)では神村学園高(鹿児島)との決勝で4人抜きのスーパーゴールを決めて大会MVPに選ばれている。その後、怪我が増えてしまい、なかなか本領を発揮することができていないが、選手権予選準々決勝の細田学園高戦で延長V弾。2日前の初戦でも交代出場で見事なゴールを決めていた。

 この日は0-1の後半31分にピッチへ。村松明人監督は周囲を活用することのできるMF土谷飛雅(3年)を残すか守った末に「ワイドの仕掛けで勝負するか、かなり迷いました。時間も時間だったし、交代回数がもう最後だったので、もう思い切ってやろうと。最後ドリブルにかけたかった」と投入決断をしたという。その1年生はドリブル回数を増やすことができなかったものの、期待にゴールで応えた。

 自身の活躍での劇的勝利。だが、長璃は「個人というよりは、チームとして勝てたことが嬉しいです」と語る。その1年生は、兄とともに戦う選手権をまだまだ続けるつもりだ。「とりあえず今年だけなので、被るのが。今年、マジで頑張ります」。ルーキーイヤーの今年、先輩たちの言葉によって、少しずつ自分に自信を持てるようになってきたという1年生MF。村松監督もポテンシャルを認めた上で、兄のようにより自分を表現することを期待する。この選手権も成長の機会に。厳しい戦いを兄とともに勝ち抜き、1試合でも多く一緒に戦う。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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