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[MOM4592]堀越GK吉富柊人(3年)_「吉富がいるから心配しなくていい」。守護神が期待に応えるPKストップ

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堀越高GK吉富柊人(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 初芝橋本0-0(PK7-8)堀越 駒沢]

 期待に応えるPKストップとなった。堀越高(東京A)は初芝橋本高(和歌山)とスコアレスのままPK戦に突入。先攻・堀越が8人目まで決め切ると、守護神・吉富柊人(3年)が後攻・初芝橋本の8人目を止め切った。「読んだら勝ちと思っていた」と喜びを口にした。

 序盤から初芝橋本のペースで進むなか、スコアレスで前半を終えた。試合は前後半80分で決着がつかない場合PK戦に進む。勝利を狙いつつも佐藤実監督は得点よりも無失点を重視。ハーフタイムには「先に取られるとかなりきつくなる。0-0でPKでも吉富がいる。心配しなくてもいい」と守護神の存在を強調し、選手たちを発奮した。

 そして80分で決着はつかず、PK戦となった。練習でも全員が成功するほど精度を高めたキッカーたちは連続で決め切るが、一方で吉富は止められない。

「自信はあったけど今日は本当に当たらなかった」。味方のキック時にはゴール横でしゃがんでいた。理由は「集中力を高めるためと、少ししゃがんで小さく見せて、その後に立って相手に威圧感を与える。ゴールを小さく見せるため」。少しでも止める確率を上げるべく、189cmの巨体はピッチ上で誰よりも低い姿勢となっていた。

 先攻で8人目のキッカーDF竹内利樹人(2年)が決める。止めたら勝利確定の状況が続くなか、待望の瞬間がやってくる。相手のゴール左隅へのシュートを、吉富がドンピシャでストップ。「止めれてよかった」。直後には仲間とともに喜びを爆発させた。

 今大会屈指の高身長は親譲り。父親は173cmで、中学校までバスケットボールをプレーしていた母親が182cmあるという。高身長がありながらもハイボールは「得意とする分野ではなかった」と語る。それでも今回の試合では判断良くハイボールを処理。「いままで不安になっていた要素が、今日はしっかり出ていた。これからは自信を持っていける。自己評価はよかった」と手応えを口にした。

  初戦に続く無失点。さらに自身の手でPK戦を制したことで、GKとして勢いに乗れた。「PKは自分が活躍したとは思っていない。味方のおかげで勝てた」と謙虚ながら「次につながる、勢いを持っていける勝ち方」と力を込める。敗れた相手の思いを引き継ぎ、誰よりも高い視線で頂上を見据えていた。

(取材・文 石川祐介)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
石川祐介
Text by 石川祐介

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