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神村学園MF名和田我空は“選手権初ゴール”で勝利に貢献も「まだまだ自分の力はこんなものじゃない」

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神村学園高MF名和田我空が選手権初ゴールを奪う!(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権2回戦 神村学園高 2-0 松本国際高 ニッパツ]

「4回目の全国大会で、本当に得点が欲しかったので、初戦で獲れたというのは凄く嬉しかったです」。

 神村学園高(鹿児島)に受け継がれる伝統の14番を背負った、U-17日本代表の俊英。今大会注目のアタッカー、MF名和田我空(2年=神村学園中出身)が、ようやく生まれた“選手権初ゴール”で初戦突破の一翼を担った。

 2週間前に行われた鹿児島県予選を勝ち抜き、全国への出場権を手にした神村学園。彼らにとって初戦となる2回戦で対峙するのは松本国際高(長野)。鋭い攻撃に特徴を持つチームだけに、フルスロットルで立ち上がった相手の勢いを少し受ける格好で、ゲームはスタートする。

 少し嫌な空気も流れる中、それを切り裂いたのが『神村学園の14番』だ。前半8分。右サイドをスムーズなパスワークで崩し切ると、MF新垣陽盛(2年)のスルーパスに抜け出したFW西丸道人(3年)は、優しいボールを名和田の足元へ送り届ける。

「ボールが来るまでのチームの崩しが完璧だったので、本当に信じて走って、あとは決めるだけでした」。

 右足で丁寧に蹴り込んだボールは、右スミのゴールネットへ綺麗に吸い込まれる。ベスト4まで勝ち上がった昨年の選手権では、4試合に出場したものの得点がなく、2度のインターハイもノーゴールに終わっている名和田にとっては、これが全国大会での初ゴールであり、選手権での初ゴール。祝福に駆け付けたチームメイトの輪の中で、大きな笑顔が弾けた。


 だが、以降の時間は期待されていたようなパフォーマンスを披露したとは言い難い。両チーム最多となる4本のシュートを記録しながら、“2点目”は生まれず。有村圭一郎監督も「ゴールしか仕事をしていないですし、みんなが獲らせてくれた得点で、それを今度はみんなに返してもらわないと困るので、期待しています」と言及。次戦以降の奮起を促したようだ。

 もちろんこの日の自身の出来については、誰よりも本人が一番よくわかっている。「自分の力が100パーセント出せていないのは、自分でもよくわかっています。ハーフタイムにも厳しいことを言われましたし、『神村学園の14番』の自覚を持ってチームを勝たせないといけないので、『まだまだ自分の力はこんなものじゃないぞ』ということを、次からしっかり証明できるように切り替えて、神村学園のために、鹿児島のために、自分のプレーを表現していきたいです。こういう舞台でも力を出せる選手が、プロに行っても活躍できる選手だと思うので、自分の力を100パーセント出せるように良い準備をしていきたいです」。

『神村学園の14番』に課せられた重圧と、向き合ってきた1年間の集大成。たゆまぬ努力を積み重ね、世界の舞台でも列強の猛者と逞しく対峙してきた名和田の真価が、まだまだこんなものであるはずがない。

(取材・文 土屋雅史)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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