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得点だけではないチームへの貢献。水戸内定MF碇明日麻主将が声で大津に影響を与えて初戦突破

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大津高の水戸内定MF碇明日麻主将(3年=FCK マリーゴールド AMAKUSA U15出身)が初戦突破に貢献

[12.31 選手権2回戦 遠野高 0-1 大津高 埼玉]

 ゴールだけが貢献の仕方ではない。大津高(熊本)の水戸内定MF碇明日麻主将(3年=FCK マリーゴールド AMAKUSA U15出身)が前線で攻守に奮戦し、声でチームを後押し。3回戦進出へ導いた。

 碇は元々ボランチを得意とし、22年シーズンはCBとして全国3位に貢献した。23年シーズンはボランチとして準備をしていたが、プレミアリーグWEST開幕直後に平岡和徳総監督の提案で前線のポジションへ。大津進学後、ボランチ、CB、FWでも才能を発揮してきた万能型は「点を取るために前をやってくれ」という恩師の期待に応える。プレミアリーグWEST19試合で20得点をマークし、得点王に輝いた。

 188cmと長身でしなやかさとテクニックを併せ持つ碇は、選手権の得点王候補の一人。この日もゴールを期待される中での戦いだったが、相手の分厚い守りの前に大津らしいパスワークやサイド攻撃を十分に発揮することはできなかった。

 その中でも碇は前線でボールの受け手となっていたが、最も警戒される中でシュートはゼロ。もちろん、得点へのこだわりを持っている。だが、それ以上に大事なのはチームが勝つこと。「やっぱり、大事なところで自分が点を取れれば良いと思っていますし、自分のゴールでチームに貢献できるし、守備でチームに貢献することもできる。どうにかチームに貢献することを考えながらプレーしていきたい」。1点が欲しい状況であればもちろん全力でゴールを目指すが、1-0とリード、2点目を取ることが難しかったこの日は相手に得点を与えないことを重視した。

「点が取れない分、チームに与える影響というか、そういうところで貢献しようと思いました」。試合の入りや締めという大事な時間帯で特に意識して声。緊張している選手を落ち着かせ、またチームとしてやるべきことを共有していた。大津は遠野高(岩手)の反撃を封じて1-0で勝利。ベンチからの声がなかなか届かない中、宮崎祐介監督は碇ら昨年の経験者たちの発する声を高く評価していた。

 目標は全国制覇。碇は「(選手権は)自分の価値というか、そういうのを発揮する場だと思いますし、大津高校を全国でアピールする場だと思う。一戦一戦、自分たちのやるべきことを貫いていきたい。1、2年生の時に悔しい思いをしているので、その思いは誰よりも自分が強いと思う。この思いを1試合1試合ぶつけて今年こそは取りたい」。2年前は決勝で青森山田高(青森)に完敗を喫し、昨年度は準決勝で東山高(京都)にPK戦で敗戦。誰よりも強い思いを持つ主将が3回戦でも点を取ること、守りで貢献すること、そしてリーダーシップでも大津に貢献して必ず勝つ。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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