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[MOM4599]大津MF古川大地(3年)_相手を驚かせた高速の切り返し。決勝点に加え、違いも示す

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大津高MF古川大地(3年=大分トリニータU-15宇佐出身)は決勝点に加え、違いを見せる動き

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 遠野高 0-1 大津高 埼玉]

 大津高(熊本)の左サイドが、公立の伝統校対決で輝いた。前半8分、大津は左クロスのこぼれにMF古川大地(3年=大分トリニータU-15宇佐出身)が反応。「こぼれだったのでフカさないように、枠外に飛ばさないように打つことを意識して打ちました」と右足ダイレクトでシュートを放つ。すると、ボールはDFに当たってコースが代わり、ゴールネットに吸い込まれた。

 宮崎祐介監督が、「良く1つめ、2つめのチャンスで思い切り良くシュートを打ちに行ったと思います」と讃えたプレー。思い切り良く、また精度、威力を持って放った一撃が、チームに歓喜をもたらした。

 対戦した遠野高(岩手)のDF畠山哉人主将(3年)はこのゴールは防げた失点であったこと、また前半に古川への対応が後手になったことを反省する。その古川のスピード感は、東北ではなかなか体感できないモノだったようだ。「あんだけ切り返して来る人は(岩手)県内どころか、東北にもあんまりいないので、あのスピード感であの切り返しは初めて見たので驚かされた部分があります」。大津は前半に主導権を握る時間を伸ばしていたが、古川のドリブル、またボールタッチもその一因だった。

 以前、「自分の武器がドリブルで、仕掛けて1枚剥がしたり、人と違い作ってチームに貢献したり、そういうところが自分の仕事だと分かっている」と語っていたMFは、次のプレーに移りやすいようなファーストタッチの身体の向き、ボールの置きどころ、柔らかいボールタッチから他との違いを表現。多少難しいボールでも難なくコントロールし、味方の攻撃に結びつけていた。

 そして、鋭い切り返しを交えたドリブルを連発。この日、遠野は「自分は縦にも中にも行けるのがウリなので、何度も繰り返して交互に使っていけば自分の良さが出せると思っていた」という背番号7への対応に苦慮していた印象だ。

 遠野の分厚い守りの前になかなか中へ潜り込ませてもらえなかったことも確か。それでも、縦へ切れ込んでクロスの本数を増やしていたほか、PAのFWへ楔のパスをつけて行く。ただし、「クロス自体は得点に繋がっていないので合わせて、(エースFWの碇)明日麻だったりにアシストしたり、点を取ったりしたい」とコメント。課題となった部分を改善し、より活躍、勝利に貢献することを誓っていた。

 古川は大分トリニータU-15宇佐出身。大分、横浜FMを経て現在セルティックでプレーするMF岩田智輝らの後輩に当たる。「(当時から)岩田選手の話などを聞いていた。ユースに受からなかったけれど、結果を出して、トリニータの方でプロでデビューしたり、呼び戻してもらえるようにプレーしています」。将来は大分で。選手権はアピールのチャンスでもある。

 重圧もあるが、プレーを楽しむつもりでいる。インターハイでは悔しい初戦敗退。そのこともあって、「一番は楽しむことだけを意識してきょう臨みました」。そして、躍動したMFについてはライバル校も警戒心を強めている。次戦は同じプレミアリーグ勢の強敵・昌平高(埼玉)との3回戦。相手の警戒を上回り、大津に多くのゴールと白星をもたらす。
 
(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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